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中村芳平「よくわかる外食戦争」

キリンビール、マス広告&大量生産と決別の歴史的転換へ…驚きのビールの店に客殺到

文=中村芳平/外食ジャーナリスト

 さらに和田氏はこう続けた。

「今年は3月末現在で10種類のビールを開発、年間で約40種類の新しいビールを開発します。これまでになかった驚きのある限定ビールを次々に開発し、キリンのオンラインショップ『DRINX』と連携して販売します。クラフトビール業界を盛り上げるために国内外の作り手とのコラボレーションを仕掛けたり、作り手と飲み手のコミュニティを立ち上げたりするなど、ビール本来の魅力や楽しさをもっと広めていきたいと思っています」

 和田氏に続いて挨拶に立ったのが、キリンのビールづくりの本流を歩くマスターブリューワーの田山智広氏だ。昨年4月、SVBの開店イベントの時には「シニアマスターブリューワー」という肩書だったが、「シニアという名称が付くと年寄り臭い感じになるので、(上司に言って)シニアを外してもらった」と、出席者を笑わせた。田山氏は、SVBで「ビールづくりは自由だ」「自分の飲みたいビールを開発する」「ビールづくりの無限の可能性を追求する」をコンセプトに、果物・植物由来などの原料を使い、あらゆるビールづくりに挑戦している。

 田山氏がSVBの開業1周年を記念して特別につくったのが「花ふぶきエール」(上面発酵酵母)である。伊豆松崎産の大島桜の葉を採集し、4斗樽に約1年間漬け込んだという。その大島桜の葉とホップを組み合わせ、桜の味わいのあるエールをつくった。筆者もミニグラスで試飲したが、桜の香りと味わいの広がるビールで、桜風味のワインを飲んでいるようであった。生れて初めて飲む驚きのビールで、一生のうち何度も飲めるビールでないことは確かである。

 田山氏は「花ふぶきエール」以外にワイン酵母を使った「DAIKANYAMA Sparkling」「ROCKING CHAIR」(アルコール度数10.5%)の2種類のビールも紹介した。これまでのビールの常識ではおよそ考えられないワイン酵母を使ったビールである。ワイン酵母を使って発酵させているだけに、味わいはビールというよりはビール風味のワインに近い。

 ちなみに酒税法ではビールは麦芽・ホップ・水を原料として発酵させたものである。また、上記に副原料として麦、米、とうもろこしなど政令で定める物品を原料として発酵させたものである。したがって「花ふぶきエール」などは、酒税法上からは「発泡酒」に分類される。

中村芳平/外食ジャーナリスト

中村芳平/外食ジャーナリスト

●略歴:櫻田厚(さくらだ・あつし)

1951年、東京都大田区生まれ。高校2年生の時に父が急逝し大学進学を断念、アルバイトして家計を助ける。都立羽田高校卒業、広告代理店勤務。72年に14歳年上の叔父(モスフードサービス創業者・櫻田慧)に誘われ「モスバーガー」の創業に参画。フランチャィズ(FC)オーナーなどを経て、77年に同社入社。直営店勤務を経て教育・店舗開発、営業などを経験。90年、初代海外事業部長に就任、台湾の合弁事業の創業副社長として足掛け5年半でモスバーガーを13店舗展開。1985年の株式上場と244店舗展開(16年9月末)、そして同社の海外展開の基礎をつくった。慧氏は97年にくも膜下出血で急逝、享年60。櫻田氏は98年社長に就任、14年会長兼社長に就任し、今年6月、社長を常務取締役執行役員の中村栄輔氏(58)に譲った。社長交代は18年ぶりのことだ。櫻田氏は中村氏に国内事業、新規事業を任せ、海外事業に全力を注ぐ構えだ。「モスバーガー」を世界のブランドにするという、夢の実現に向かって挑戦しようとしている。

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