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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏

「要求が細かい」びっくりドンキーの「びっくり」な秘密!3度の値上げでも客殺到の謎

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外食でしか味わえない「居心地」を追求

 市場縮小は多くの業界に共通するが、外食業界も例外ではない。近年は前年比でプラス成長に転じる年もあるが、ピーク時に比べると2割近く市場が縮小している。

 その理由はいくつかあるが、少子高齢化や人口減少に加えて「中食」(総菜や弁当を買って家の中で食べること)で済ませる人が増えたことや、低価格の外食店の増加で同じ客数でも売上高が伸びない一面もある。

 そんななかで、現在のアレフが取る戦略は「広げるよりも深める」手法だ。かつて同社は600店構想を掲げた時期もあった。その拡大戦略(積極的な新規出店)をいったん横に置き、今は既存店の深掘りを進めている。

「リニューアルオープンさせた札幌市東区にある『びっくりドンキー伏古店』が今後のモデル店です。もともと当社の店は『オモチャ箱をひっくり返したような』演出が特徴ですが、過度な演出面を少しすっきりさせました。また、高齢化社会を見据えて入口にスロープをつけるなど入店しやすくしています。伏古店以外でも、従来の肉の分量は150グラムと300グラムの2種類でしたが、100グラムに抑えた商品も提供し、ランチで野菜を多く食べていただく『ドンキー畑』というメニューも提供しています」(松本氏)

 野菜は、10年かけて「カット野菜のフレッシュ化」活動を進め、全国8工場から各店舗に小ロットで包装し、より新鮮な状態で提供するようにしたという。

 お客からは気づきにくい部分だが、こうした取り組みも外食でしか味わえない居心地への“隠し味”となる。店舗ごとに個性があり、間仕切り席も多いびっくりドンキーでは、常連客でも違う空間が楽しめるという。松本氏はかつて店長を務め、その後は人事担当として店舗スタッフの採用もしてきたので、店舗の実情に詳しい。

「創業社長の故庄司昭夫は、生前『店は学校である』と話していましたが、店の仕事を通じて対人関係を学び、成長した従業員を見ていると本当にそう思います」(同)

店舗スタッフの接客風景

 取材時に接客してくれた女性スタッフは、人事担当時代に松本氏が採用した人材だという。

 忙しく働いても収入が伸びない時代に人気の飲食店は、「手の届く贅沢」や「店での過ごしやすさ」に応えてくれる店という面を備えている。びっくりドンキーは、近年の値上げで客単価1000円を超えているが、それでも客足が衰えないのは納得価格としての許容範囲と受け止められているからなのだろう。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

●高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
1962年生まれ。(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。2015年10月16日に発売された『吉田基準』(日本実業出版社)では取材・構成を担当。これ以外に『カフェと日本人』(講談社現代新書)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。
E-Mail:takai.n.k2@gmail.com

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