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三菱自不正発覚の引き金・日産、三菱自を買い叩き…三菱財閥没落の隙突く、事前に計画準備か

文=編集部
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三菱自不正発覚の引き金・日産、三菱自を買い叩き…三菱財閥没落の隙突く、事前に計画準備かの画像1資本・業務提携の共同記者会見を行う日産のカルロス・ゴーン社長と三菱自の益子修会長(「Rodrigo Reyes Marin/アフロ」より)

 日産自動車は2373億円を投じ三菱自動車工業株式の34%を握り、筆頭株主になる。三菱自が第三者割当増資を実施する。日産と三菱自は5月12日に取締役会を開き、資本・業務提携を決議した。34%を握れば株主総会で合併や定款の変更などの重要事項を単独で否決できる拒否権を得ることになり、実質的に傘下に収めることができる。

 間接保有も含めて三菱自の約20%の株式を保有する三菱重工業は、三菱自の“盟主”の座から降りる。三菱グループの御三家、三菱重工、三菱商事、三菱東京UFJ銀行の出資比率の合計は第三者割当増資後に全体の4分の1程度に低下する。日産は、三菱3社はそれぞれの企業を取り巻く厳しい経営環境もあり、「これ以上、3社は三菱自にコミットできないだろう」と読み切った。その上で周到に作戦を練り三菱自を買い叩いた。

 三菱自の水島製作所(岡山県倉敷市)の軽生産設備と、タイをはじめとする東南アジアにおける三菱自のシェアを手中に収めることができれば、2300億円出してもお釣りがくる。三菱自は東南アジアに複数の生産拠点を持ち、世界販売台数の3割を東南アジア地域で売っている。これに対して日産はわずか1割だ。

 12日の資本・業務提携の記者会見でカルロス・ゴーン日産社長兼会長は、三菱自を手に入れることのメリットを「スポーツタイプ多目的車(SUV)、四輪駆動技術、ピックアップトラック、ASEAN(東南アジア諸国連合)市場での協業」とすらすら答えた。「日産にとって、これは好機だ」とも述べた。こうした発言は、満を持してM&A(合併・買収)にゴーサインを出したことを物語っている。

1000万台クラブの覇権争い

 日産はルノーの子会社で、三菱自はその日産の傘下に入る。結局、ルノーが三菱自のいいとこ取りをすることになるわけだ。

 ルノー・日産グループに三菱自の販売台数が加わると、世界販売台数は959万台となる。トヨタ(1008万台)、独VW(993万台)、米GM(984万台)に次いで世界第4位の地位が確かなものになる。いずれも15年の販売実績だ。

 今後、世界の自動車マーケットは“1000万台クラブ”のメンバー企業が覇を競うことになる。トヨタ、VWは1000万台を売った実績があり、GMも手が届きそうだ。三菱自動車を傘下に収めた日産も仲間入りする環境が整う。

 ルノー・日産連合はゴーン氏の長期政権が続き、世界各地でさまざまな問題が多発している。長期政権の矛盾を外に逃がす意味でも、三菱自のM&Aは格好の出物だったわけだ。

BusinessJournal編集部

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