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アマゾン、なぜ急速にコストコ化?会員を「無料&特典漬け」で客囲い込みに本腰

文=寺尾淳/ジャーナリスト
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「年3900円の元が取れるか」を考えて、3月までの全品送料無料時はプライム会員加入を見送っていたユーザも、今後は「350円×12回>3900円」というコスト計算を意識するようになるだろう。それに音楽や映像のコンテンツや割引などの特典がつけば、11回以下の購入頻度でも「加入してみようか」という動機づけになる。なお、アマゾンのプライム会費3900円は、サービス内容は異なるが99ドル(1万890円、1ドル=110円で計算)のアメリカ、49ユーロ(6125円、1ユーロ=125円で計算)のユーロ圏よりも安く設定されている。

 アマゾンがこれだけ特典漬けにしてでもプライム会員を増やしたい理由は、ネット通販に限らず小売業界で「会員制」は、大きなメリットがあることが広く認知されているからである。1年半前に全品送料無料をやめたZOZOTOWNも、会費月額350円で送料無料などの特典がつく「ZOZOプレミアム」を始めている。プレミアム会員の制度が今後、ネット通販業界全体のトレンドになる可能性もある。

 リアルの世界で、会員制のビジネスモデルで成功した企業と言えば、アメリカの「コストコホールセール」がよく知られている。

コストコをリスペクトしたジェフ・ベゾス

 会員制の小売といえば、日本では生活協同組合(生協)が大きな勢力をもっている。出資金という名の会費(預り金)を支払うと、店舗でも宅配でも商品を割引価格で購入できる。アメリカにも生協(コープ)はあるが、今はそれより「ホールセール・クラブ」「ウェアハウス・クラブ」と呼ばれる民間企業の会費制スーパーのほうが目立っている。郊外に飾り気がまったくない倉庫型の店舗を構え、食料品でも日用品でも同じ種類の商品を大量に在庫し、会員に箱単位で安く販売する。その最大手がウォルマート系のサムズ・クラブと、1976年に創業し世界に約700店舗を展開するコストコだ。「コストコ」は日本にも現在25店舗ある。

 会員制スーパー(ホールセール・クラブ)は、アメリカの活況をみてダイエーが1992年から「Kou’s(コウズ)」を関西と首都圏に出店したことがある。10年後の2002年に全店撤退したが、それはダイエーグループの経営危機によるもので、「Kou’s」それ自体は決して失敗ではなく、「日本人には合わない小売業態」という評価も当たっていないといわれている。コストコも品揃えや接客やサービスなどアラを探せばキリがないが、会員(=固定客)も売上も伸びており、新店も15年は4店舗が開店し、今年4月には宮城県に1店舗、新規にオープンしている。

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