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紀伊國屋書店、売上減地獄か…ジュンク堂、赤字常態化でも異常な大型店出店連発の危うさ

文=佐伯雄大
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「南店の事実上の撤退を決断したのは、ビルオーナーである東神開発との契約がまとまらなかったためですが、売上の減少が相当堪えていたようです。紀伊國屋の高井昌史社長が14年の講演会で、驚くべき数字を発表しています。紀伊國屋の店舗売上です。96年は37店(1万1009坪)で年間584億円でしたが、13年は64店(3万89坪)で年間579億円に減少したのです。店舗数は1.7倍以上、総売り場面積に至っては2.7倍以上に増えているにもかかわらず、売上が落ちてしまった。

 新宿地区でも、1996年は新宿本店1店(1030坪)で119億円を売り上げていたのが、2013年は南店を含む2店(2813坪)で107億円と、店舗も売り場面積も倍増しているのに売上は減少しています。同じ売上を上げるのに、単純計算で倍以上の経費がかかっているのです。約20年経って売上がどんどん落ちるなか、黒字どころか大きな赤字が出ていたことは想像に難くないでしょう」

 冒頭の出版社幹部は、「南店は8月までに撤退するそうです。そのあとには、家具大手ニトリが入る方向で調整に入っているようです」とも明かす。ニトリといえば、昨年に東京・銀座、今年には池袋と、都市部への出店を加速させている企業。南店の売り場面積はまさにうってつけのように思える。

 ただ、南店が出店した1996年は出版界の推定市場規模がピークを迎えた年である。それ以降、市場は下降トレンドを今も続けている。翻って、書店はその頃から大型化がどんどん進んでいった。今や1000坪の書店も珍しくない。その急先鋒が、ジュンク堂書店(現・丸善ジュンク堂書店)である。

「ジュンク堂は97年に池袋本店、99年に大阪本店、2001年に福岡店出店のほか、池袋本店の売り場を倍増させるなど、次々に大型店を出店していました。どこにそんなお金があるのかと思っていたら、池袋本店を増床したころに財務状況が悪化してその年だけ、社員にボーナスを支払うことができなかったのです。ただ、ジュンク堂の工藤恭孝社長はキクヤ図書販売の創業家の次男で、長男の俊彰氏はキクヤ図書販売やブックローンの社長です。図書の月賦販売で大儲けしたブックローンの資金がメインバンクにたまっているそうで、キクヤ図書販売から独立して創業したジュンク堂書店を創業した恭孝氏も、無利子に近い待遇で融資を得ていたそうです」(出版社社員)

体力を失う取次

 また、ある取次関係者は書店の大型化について、こう指摘する。

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