ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 紀伊國屋書店、売上減地獄か  > 3ページ目
NEW

紀伊國屋書店、売上減地獄か…ジュンク堂、赤字常態化でも異常な大型店出店連発の危うさ

文=佐伯雄大
【この記事のキーワード】, ,

「書店のような小零細企業に、出店費用を工面できるほどの資本力はありません。出版市場が右肩上がりの頃は取次が率先して付き合いの古い地元書店に多店舗化をもちかけ、新規開店費用のうち、初期在庫の支払いを優遇する措置を施していました。つまり、売り場面積によって変わりますが、数億円もの初期在庫を1~2年は棚上げにして、その後に12回などの分割で支払ってもらう、というやり方です。取次の売上もどんどん上がるのだから、そうした支援は惜しみません。

 まさに出版バブルですが、ジュンク堂の場合は市場のピークを過ぎていました。それでも、新規出店の支払いで、メイン取次である大阪屋に相当優遇してもらっていたと聞きました。取次という支援者がいるからこそ大型出店が可能なのです」

 この話は出版業界では有名な話である。初期在庫の支払いを2~3年棚上げし、その後も24回払いなどの分割で支払うという出店の方法だ。

 しかし、その資金をバックアップしていた取次の大阪屋、さらには栗田出版販売や太洋社も破たんしている(大阪屋と栗田は合併し大阪屋栗田に)。この出店策が経営にどれだけ影響したかは別として、今の取次にそれだけ書店の面倒をみる体力がなくなってきていることは明らかだろう。

 資金力のあるトーハンは例外かもしれない。書店を子会社化するという将来を見越した投資を行っている。日本出版販売もトーハンに比べて資金力は見劣りするが、同様に書店を子会社化している。それでも、これらの子会社の書店は不採算店を整理こそすれ、積極的な出店策を取るようなことはしていない。昨年に創業の地・池袋から撤退を余儀なくされたリブロも、次の候補地を見つけられていないようだ。

ジュンク堂、大型店舗を次々出店

 一方で、ジュンク堂はこの情勢とは真逆の方向に舵を切っている。なんといっても09年に大日本印刷に買収してもらい、潤沢な資本力を得たのが要因だろう。丸善CHIグループの傘下に入った後、リアル書店部門である丸善書店とジュンク堂書店のトップには工藤氏が就任した。MARUZENや丸善、MARUZEN&ジュンク堂書店、ジュンク堂書店などの屋号で出店してはいるものの、実質は工藤氏の采配による出店だ。それに、売り場を見ればまさにジュンク堂のつくりであり、工藤イズムがそこに体現されている。

紀伊國屋書店、売上減地獄か…ジュンク堂、赤字常態化でも異常な大型店出店連発の危うさのページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!