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「客に親切すぎる&品揃え豊富すぎる」店が閉店、売上日本一だったダイエー碑文谷店も閉店

文=法理 健/流通ジャーナリスト
「客に親切すぎる&品揃え豊富すぎる」店が閉店、売上日本一だったダイエー碑文谷店も閉店の画像1ダイエー碑文谷店(「Wikipedia」より/Aimaimyi)

 穏やかなゴールデンウイーク中の東京・城南地区。5月5日にダイエー碑文谷店、8日にダイシン百貨店、小売業の2つの象徴店舗が惜しまれながら閉店を迎えた。

 ダイシン百貨店は2000年代後半、巣鴨地蔵通り商店街と共に「シニア小売の象徴」ともてはやされた。地方の百貨店や独立系百貨店が次々と閉店していくなか、「半径500mのシェア100%主義」を掲げ、シニアを中心に1日 1万5000~2万人が来店し、ロイヤルユーザーの圧倒的な支持を受け、地域密着百貨店として数々のメディアに取り上げられていた。

 当時は、効率を重視するチェーンオペレーションとは一線を画した数々の施策が話題となった。

 ペットボトル1本からでも無料で宅配した。70歳以上の高齢者、妊娠中の女性、体の不自由な方などが対象の限定サービスではあるが、荷物の量や値段に関係なく、購入した商品をその日のうちに自宅まで届けてくれる「しあわせ配達便」は評判となった。

 30分~1時間おきに無料送迎巡回バスを3コースで運行した。利用者にとっては便利だが、実際には誰も客を乗せずに空走行することも多々あり、厳しい運営となっていたことは明らかだった。

 店舗で発行していたポイントカードには、購入額210円ごとに1ポイントが付与され、1000ポイント貯まると1000円分の買い物券と交換できた。来店するだけでもポイントを付与しており、消費者の積極的な来店を促した。週末にはポイント5倍、10倍といったサービスデーも実施し、魅力は多かった。

 買い物券は、商店街や大森山王地域の多くの店舗で使用できるほか、ボウリング券、温泉入浴券、映画鑑賞券にも交換でき、地域密着を後押ししていた。一方で、ポイントカードの本来の目的である囲い込みとは真逆の戦略といえ、営利性は低かった。

 また、品揃えについては、「お客さまが必要とする物、リクエストがあった物は仕入れる」という姿勢で、取扱品目数は18万点にも上った。不良在庫を削減し、効率的な在庫管理を追求するチェーンオペレーションとは対極をなす施策だった。

 消費者は高齢化すると、ブランドスイッチ(購入し続けたブランドとは異なる競合ブランドを購入すること)がしづらくなるということを意識した展開である。

 一例を挙げると、パンは約430種、歯ブラシは約300種、ペットフードは約3000種に上った。カミソリに関しては、納入メーカー担当者が「過去の商品も含めて、日本一の品揃え」と絶賛するほどだった。シニアターゲットということもあり、100万円を超える仏壇・仏具までも陳列していた。

 お客にとっては大変ありがたい施策だが、在庫過多が経営を圧迫したと思われる。

 さらに、各フロアには専門のスタッフが配置され、まるで御用聞きのように顧客の意見を聞き、新たなサービスにつなげていた。

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