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もしも新しい神様が“女の子”だったら? 『神様メール』のユーモアと女性賛歌

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【リアルサウンドより】

 「神は初めにブリュッセルを創った」そんな壮大なジョークで幕を開ける宗教的なブラックコメディーだ。英題は『THE BRAND NEW TESTAMENT』、これは「新・新約聖書」を意味し、“神”の娘であるエアがキリスト兄さんの助言によって追加6人の使徒を探す道中、文字の書けないホームレスの男に記させる文書を指すのだが、この通り、本作ではキリスト教的要素が全面に出てくる。かといって、その知識がないとついていけないなんてことにはならない。この映画はいわゆる「余命もの」、日本映画で毎年のように生まれている、良く言えばわかりやすい、悪く言えば慣れてしまったジャンルだからだ。とはいえ“余命”ものとしてのスケールは映画至上最大だろう。なんと全人類に余命が知らされてしまう、しかも神様からメールで…ここからきたのが秀逸な邦題『神様メール』だ。

 さて、監督はベルギー出身のジャコ・ヴァン・ドルマル。25年間で長編3本という極めて寡作な監督なので、この新作は満を持しての公開となる。91年のデビュー長編『トト・ザ・ヒーロー』では孤独な老人が失敗した過去を回想して憎むべき幼馴染に復讐を果たそうとするが、見過ごしていた己の人生の美しさを発見していく。ジャコ・ヴァン・ドルマルはこの瑞々しいデビュー作ですぐさま世界的に高い評価を得た。次の『八日目』(96年)は自殺を考えるサラリーマンがダウン症の障害をもった青年に出会って人生を見つめ直すヒューマンドラマの秀作だ。そして、ある男が自分の人生にあったはずのいくつもの可能性を体験する大作『ミスター・ノーバディ』が2009年に公開され、驚きをもって迎えられた。この監督の虚実入り混じった独特な世界観とユーモア溢れる人生賛歌に魅了されてきたファンも多いはず。ジャコ・ヴァン・ドルマル監督はいつだって「人生」についての映画を撮ってきた。

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