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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

ソニー頼みの綱・半導体事業、地盤崩壊の危機…世界1位陥落か、また市場変化に乗り遅れ

文=湯之上隆/微細加工研究所所長

 この時、韓国サムスン電子や米マイクロンは、25年保証などの高品質は必要ないPC用DRAMを破壊的な安価で大量生産した。一方、主要顧客がメインフレームメーカーであった日本の半導体メーカーは、相変わらず25年保証の高品質DRAMをつくり続けてしまった。その結果、コスト競争に敗れ、エルピーダメモリ1社を残して撤退に追い込まれてしまった。そのエルピーダも倒産し、米マイクロンに買収された。

 すなわち、米ハーバード大学ビジネススクール教授クリステンセン氏が言うところの「イノベーションのジレンマ」が起きたのである。そして、筆者は「ソニーのCMOSセンサは、かつての日本のDRAMを髣髴とさせる」と述べた。300人ほどいた講演会場は凍りついてしまった。

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15年のソニー

 ソニーでの講演から約5年がたった。09年から14年の5年間で、ソニーのCMOSセンサは売上高シェアが倍増の42%(世界1位、図2)、ユニットシェアが3倍以上の19%(世界2位、図3)になった。

 ソニーは売上高シェアで断トツの世界1位だが、ユニットシェアは1~4位までが混戦である。特に、中国ファブレス(開発・設計に特化し工場を持たない半導体メーカー)のギャラクシーコアは、設立から4年であっという間に世界1位になってしまった。中国がスマホの世界最大の市場(年間5億台)になったことが影響している。

 相変わらずソニーはiPhoneなどハイエンド製品に圧倒的に強く、ミドルエンドにも進出するなど成長した点もある。しかし、ギャラクシー・コアの独壇場となっているローエンドには、まったくシェアがないと思われる。したがって、09年に感じた不安は払しょくできていない。

 その上、もうひとつのソニーの弱点が見えてきた。監視カメラや車載など産業用CMOSセンサのシェアがほとんどないことである。

 今後、世界はIoT(モノのインターネット)が普及し、20年には1兆個のセンサが世界を覆うといわれている。そのような産業用の、しかもローエンド分野にソニーは強くない。その上、自動運転車が普及しようとしているが、これに搭載されるCMOSセンサが、これまでの勢力図を一変させる可能性が見えてきた。

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