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駆け込み需要が、消えた…消費再増税延期で右往左往する企業、業績下方修正も続出か

文=寺尾淳/ジャーナリスト

 国内販売の比率が相対的に低くなっているためか、自動車メーカーの大手8社で、3月期決算の決算短信の次期見通しの部分で「消費増税前の駆け込み需要」に言及したところは1社もなかった。スズキの鈴木修会長は今期の想定で「消費増税の駆け込み需要は加味していない」と述べている。もっとも、生産会社のトヨタ自動車東日本が5月16日に岩手工場の期間従業員約100人の正社員登用、期間従業員約230人の新規募集の計画を発表した際には「年明け以降は駆け込み需要も予想される」を理由に挙げていた。それがなくなり、雇用に影響は出ないのだろうか。

 自動車販売業界は決算短信の次期の見通しで、ATグループ(トヨタ系)は「消費税増税問題など、予断を許さない状況」、日産東京販売ホールディングスは「消費税率引き上げ前の駆け込み需要や、政府の景気対策への期待感がある」、VTホールディングス(日産、ホンダ系)は「消費税再増税前の一時的な駆け込み需要が期待される」と述べており、大きな関心事になっていたことは確か。消費増税先送りが確定したので、7~8月の第1四半期の決算発表の際に業績見通しを下方修正する可能性がある。

住宅メーカーでも業績見通しの下方修正の可能性がある

 住宅メーカーの決算短信の次期の見通しでは、積水ハウス(1月期決算)は「17年4月に予定される消費増税に伴う駆け込み需要や反動減の影響等、一部に不透明感があります」、大和ハウス工業は「消費増税が業界に与える影響については、慎重に見極めていく必要があります」と言及。駆け込み需要のピークだけでなく、反動減も他の業界よりも早く来て今期下半期の業績に影響するので、痛しかゆしというところ。

 その消費増税が消えることで大和ハウス工業の樋口武男会長は「需要が落ち込む心配がなくなり安堵の要素」、ミサワホームの竹中宣雄社長は「今年度の住宅着工は減るだろう」と述べている。住宅メーカーは業績見通しに駆け込み需要をすでに織り込んでいるので、修正される可能性がある。

 家電販売店の大手3社の決算短信の次期の見通しでは、ヤマダ電機は「消費増税前の駆け込み需要が限定的ではありますが想定され」と需要回復を期待し、決算説明会でも岡本潤取締役が駆け込み需要も想定しながら見通しの数字を出したと説明していた。そのため今後、下方修正の可能性がある。

 一方、エディオン、ケーズホールディングスは決算短信で駆け込み需要に言及せず、エディオンの久保允誉会長兼社長は「前回の半分程度」と影響を小さく見積もっていた。この業界は企業による温度差があった。

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