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あの有名ベンチャー企業、インサイダー取引疑惑で東証が調査…関与疑惑のSBIが異例声明

文=編集部

 同日のアキュセラの売買代金は505億円に達し、全上場銘柄でトヨタ自動車に次いで2位になった。瞬間風速ではトヨタを抜いてトップに立ち、異常とも思える活況を呈した。売るに売れなかった株主が、やっと株券を現金化したわけだ。一方で、「ここまで下げれば、短期的なリバウンドがあるのではないか」と判断し、思惑買いをした投資家(いや投機家)も多数いたということだろう。

 6月3日は前日の終値と同じ1175円で始まり、高値1200円、安値1042円。1042円(133円安)で取引を終わった。週明けの6月6日には986円まで下げ、一時1000円の大台を割り込んだ。終値は1028円(14円安)である。

 新薬「エミクススタト」の夢を買った投資家が、ようやく現実に引き戻されたという見方もできる。だが、7700円の高値をつけた直後に、一転してストップ安になった経緯が不透明だという指摘が市場関係者から出ている。

 今後の東証の判断が注目される。

バイオ・ベンチャーはハイリスク・ハイリターン

 SBIホールディングス(HD)は、アキュセラ株の20.59%を保有している。5月30日、SBIHDは「株式の売却は一切行っていない」と発表。「SBIHDも北尾吉孝社長も加齢黄斑変性治療薬候補の『エミクススタト』の臨床試験の失敗を知ったのは5月26日の適時開示が初めてだった」と説明した。これがインサイダー疑惑に対するSBIHDと北尾社長の公式回答だ。これでインサイダー疑惑が氷解されるのであろうか。

 アキュセラは5月31日、ホームページで株主、投資家向けに窪田良・会長兼社長がコメントを発表している。「ほかの進行中の主な研究開発は続ける」「今年3月に導入を発表した白内障治療薬候補は年内に非臨床試験を開始し、来年には白内障患者を対象に臨床試験を実施する」「現在、160億円の資金を持っており、開発を遂行するには十分だ」と説明し、同社の研究に対する不安の払拭に努めているが、インサイダー疑惑の調査といった微妙な問題には触れていない。

 アキュセラのようなバイオ・ベンチャーは、株式市場で巨額の利益を狙う機関投資家から常に目をつけられている。現在、「貼る鬱病薬」「貼る麻酔薬」と呼ばれる画期的な新薬を開発しているバイオ・ベンチャーが次の標的になるとの見方が広まり始めている。このベンチャー企業は経皮吸収型製薬技術を持っていることで知られている。

 市場関係者は「バイオ銘柄のギャンブルに参加するなら、投資額がゼロになる覚悟が必要だ」と述べ、その危険性を指摘する。

※以下、6月10日追記

●SBIの買い増しで株価、反転。長続きするのか?

 6月8日、9日とアキュセラの株価が反転した。いずれもストップ高水準(300円高)で引けた。
8日の終値は、前日比26%高の1461円。SBIHDによる株式買い増しが7日に明らかになったのがきっかけとなった。

 SBIHD傘下の投資会社、SBIインベストメントが7日、関東財務局に提出した大量保有の変更報告書で、ファンドを通じたSBIHDのアキュセラ株の保有比率が22.3%となり、21.07%から1.23ポイント高まった。2日、3日に市場内で取得したという。

 SBIHDの買い増しで「株価のリバウンドを狙う短期筋の投機的な買いが入った」(市場関係者)とみられている。

 9日は1641円(180円高)で始まり、安値は1570円、終値は1761円。5月20日につけた上場来高値(7700円)から8割以上暴落した後のリバウンドだが、どこまで長続きするかは不透明である。
(文=編集部)

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