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大西宏「コア・コンセプトのビジネス学」

「セブン&アイ鈴木前会長は流通の神様」のデタラメ…ヨーカ堂と百貨店は完全に失敗

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引退表明したセブン&アイHD鈴木敏文会長(「ロイター/アフロ」より)
 セブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一前社長の処遇をめぐる鈴木敏文前会長の人事案から巻き起こった経営混乱で、堰を切ったように持株会社であるセブン&アイ・ホールディングス(HD)内部の深い事情が赤裸々に伝わってきました。


 それにしても、「もの言うファンド」のサード・ポイントならずとも鈴木氏が提示した人事案は、いかにも唐突に感じたはずです。井阪社長からはなんの新しい提案もなく、リーダーとしては物足りないから任期が終わるのを契機に社長を退いてもらう、という提案でしたが、セブン−イレブンは5年連続で過去最高の営業利益を記録する好調ぶり。その先頭に立ってきたのが井阪氏なので、疑問に感じる人は少なくなかったのではないでしょうか。ゆえに「鈴木氏が息子の康弘氏(取締役執行役員最高情報責任者)を社長にするために、強権をふるい始めた」と見られてしまったのでしょう。

 むしろセブン&アイHDのアキレス腱は、総合スーパー(GMS)のイトーヨーカ堂、百貨店のそごう・西武、そしてオムニチャネルの旗を掲げて買収したニッセン・ホールディングスで、誰が見てもそれらをどう立て直すのかのほうが差し迫った経営課題です。

 そして事実上のクーデターが起こりました。

 さて、鈴木氏には、枕詞のように「流通の神様」という称号がつけられています。確かにセブン−イレブンを育てあげ、さらに最初は手本だった米サウスランド社をも吸収し、巨大なコンビニチェーンを築いてきた功績が大きいことはいうまでもありません。しかし、「コンビニ」ではなく「流通」の神様となると違和感を覚えます。

セブン−イレブン成功の方程式がヨーカ堂の失敗に


 セブン−イレブンの成長によって、セブン&アイHD全体はイオンと双璧をなす流通企業となりましたが、ヨーカ堂のGMS事業やそごう・西武の百貨店事業では、セブン&アイHDは時代変化に適応できず、敗者といっても過言ではありません。そしてそのトップに君臨してきたのは、ほかならぬ鈴木氏でした。

 鈴木氏は1992年に伊藤雅俊名誉会長からバトンタッチされ、ヨーカ堂の社長に就任しました。また、05年のセブン&アイHD設立後は会長としてヨーカ堂の経営トップの座にいました。