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大西宏「コア・コンセプトのビジネス学」

「セブン&アイ鈴木前会長は流通の神様」のデタラメ…ヨーカ堂と百貨店は完全に失敗

文=大西宏/ビジネスラボ代表取締役

 もし、ヨーカ堂にセブン−イレブンが実現したスピードの経済を持ち込むのなら、それはドイツを本拠地とするハード・ディスカウンターのアルディが見本になるかもしれません。

 GMSでも、ウォルマートのようなディスカウンターでも1店舗で4万アイテムを取り扱うのが普通ですが、アルディは1400アイテムしか扱っていません。それで一店舗の売上が同じとすれば、30倍近い回転率の差になります。そしてその90%がPBです。1アイテム当たりの販売数量が大きいので、高品質な商品を圧倒的な低価格で売ることができるというビジネスモデルです。

 ちなみにグローバル市場での小売業ランキングでは、セブン&アイHDは19位ですが、アルディは第7位で、セブン&アイHDの09年から14年の年平均成長率は3.4%ですが、アルディは6.8%で成長率でも上回る小売りチェーンです。

単発成長エンジンのセブン-イレブンに死角はないか

 店舗数の増加にアクセルを踏み、コンビニ市場のシェア50%を目指すセブン−イレブンですが、FC制度といっても16年2月末時点で全店舗1万8572店のうち73.4%の1万3623店はCタイプ店、つまり土地や店舗建物はセブン-イレブン側が用意する店舗です。

 FCオーナーといっても実質的には雇われオーナーで、労働条件が極めて厳しく、ブラックだといわれる所以です。店舗数を増やす、しかもドミナント戦略だとなると、せっかく日販を80万円にまで持っていっても、近隣に新店ができ、あっというまに50万円に下がってしまうこともあり得るのです。

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 ライバルだけでなく、近隣のセブン−イレブンとも競争になる。それでなくとも成熟してきたコンビニで競争が激化すれば、各店舗の売上も伸びず、現場のほうから疲弊し、崩れてくる可能性も捨て切れません。
(文=大西宏/ビジネスラボ代表取締役)

大西宏/ビジネスラボ代表取締役

大西宏/ビジネスラボ代表取締役

ビジネスラボ代表取締役。自称「マーケティングの棟梁」

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