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鬼塚眞子「目を背けてはいけないお金のはなし」

「親の介護」で権利振りかざし&離職する社員、対応誤り業務混乱&紛争抱える会社激増

文=鬼塚眞子/一般社団法人介護相続コンシェルジュ代表、保険・介護・医療ジャーナリスト

「この判決では、従業員側の家族の病状、従業員以外の親族等が世話や介護を担う現実的可能性と充足性、従業員が単身赴任する場合及び介護等対象家族を伴って転居し転勤する場合の症状悪化の可能性等が検討され、配転命令が通常甘受すべき程度を、著しく越える不利益を負わせるものであるとの判断が下された。これは従来の判例の判断枠組み、裁判例の傾向に沿ったものである」(鈴木氏)

 この判決は、「社会問題化する介護に未来を開いた」と世間では歓迎されたが、早合点するのは厳禁だ。あくまでもこの判例の事例において、「通常甘受すべき程度を、著しく越える不利益を負わせるもの」と認められるだけの背景が、従業員側にあると判断された結果にすぎない。

「この判決で注目すべき点は、育児・介護休業法26条【編注1】が適用される場合について、配転命令権の濫用判断との関係に言及している点である。判決は、同条によって事業主に求められる配慮について、必ずしも配置の変更をしないことまで求めるものではないし、積極的な介護等の負担軽減措置を講ずることを企業側に求めるものではないとしつつ、だからといってまったく何もしないことは許されることではないとする」(鈴木氏)

 さらに判決は、配慮の具体的内容は企業に委ねられているとしている。

「配転により就業しつつ家族の介護を行うことが困難となる労働者に対しては、配転を避けることができるのであれば避け、避けられない場合には、より負担が軽減される措置をするように求めるものであるとしている。そして、企業がそのような配慮をしなかったからといって配転命令が直ちに違法になるものではないが、配慮の有無程度は、配転命令を受けた労働者の不利益が、通常甘受すべき程度を著しく越えるか否か(上記表の<4>)、配転命令権の行使が権利の濫用となるかどうかの判断に影響を与えると判示した。著しい不利益の認定にあたり、企業側が行った手続きや配慮、特に家族の介護についての配慮を重視した総合考慮により結論を下している点で、企業にとっても従業員にとっても大きな指針の一つになる裁判例に違いない」(鈴木氏)

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

出版社勤務後、出産を機に専業主婦に。10年間のブランク後、保険会社のカスタマーサービス職員になるも、両足のケガを機に退職。業界紙の記者に転職。その後、保険ジャーナリスト・ファイナンシャルプランナーとして独立。両親の遠距離介護をきっかけに(社)介護相続コンシェルジュを設立。企業の従業員の生活や人生にかかるセミナーや相談業務を担当。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで活躍
介護相続コンシェルジュ協会HP

Twitter:@kscegao

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