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小黒一正教授の「半歩先を読む経済教室」

未成年世代、今の60代以上世代より1億円も税金等の負担格差…消費増税延期でさらに増

文=小黒一正/法政大学経済学部教授
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将来世代の負担超過が拡大

 この世代会計を用いて、筆者が試算した結果が以下の図表である。

未成年世代、今の60代以上世代より1億円も税金等の負担格差…消費増税延期でさらに増の画像2図表:世代会計の試算結果(単位:万円、筆者作成)

 17年4月に増税を行った場合、将来世代(0-19歳を含む)は8221万円の損(負担超過)、60歳以上の世代は3982万円の得(受益超過)であったが、19年10月に増税を行った場合、将来世代の負担超過は8265万円に拡大、60歳以上の世代の受益超過は3990万円に拡大する。

 すなわち、今回の増税再延期で、将来世代は1人当たり約44万円も損が拡大する可能性を意味する。

 現在のところ安倍首相は、次回は増税の再々延期はせず、19年10月に消費税率を確実に10%に引き上げる旨の発言をしているが、これ以上の延期は、将来世代にさらにツケを先送りするだけであり、図表が示す通り、増税を恒久的に延期すれば、840万円も損が拡大する可能性がある。

 さて、以上の試算を参考に、若い世代を含む全世代はどう投票するか。いま選挙権を18歳以上に引き下げた本質が問われている。
(文=小黒一正/法政大学経済学部教授)

小黒一正/法政大学教授

小黒一正/法政大学教授

法政大学経済学部教授。1974年生まれ。


京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。


1997年 大蔵省(現財務省)入省後、大臣官房文書課法令審査官補、関税局監視課総括補佐、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。財務省財務総合政策研究所上席客員研究員、経済産業研究所コンサルティングフェロー。会計検査院特別調査職。日本財政学会理事、鹿島平和研究所理事、新時代戦略研究所理事、キャノングローバル戦略研究所主任研究員。専門は公共経済学。


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Twitter:@DeficitGamble

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