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『小説BOC』編集長・髙松さんインタビュー

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『小説BOC』編集長・髙松紀仁さん
 中央公論新社が新たに創刊した小説誌『小説BOC』が、異例の3刷りとなり大ヒットを飛ばしている。雑誌不況といわれるこの時代にあって、なぜ小説誌を創刊したのか? そして、そのヒットの秘密は? 舞台裏を編集長・髙松紀仁さんに伺った。


――まずは『小説BOC』、創刊の経緯をお聞かせ下さい。

髙松紀仁編集長(以下、髙松) 小説誌をはじめようとしたのは、当時2つの考え方があったんです。1つは2016年がちょうどうちの会社(旧・中央公論社。99年に読売新聞グループ本社の傘下に入り、02年から事業子会社)が創業130周年なので、その記念に際して何かできないかという考えです。以前のうちには『海』と『小説中公』(どちらも休刊)という雑誌があったんですが、それ以降ずっと小説誌はありませんでした。で、それを踏まえて「小説誌を立ち上げよう」っていうのがまず1つ。もう1つは、作家の伊坂幸太郎さんとお話していて、雑談レベルで「何か面白いことができませんかね?」って話をしていたんです。その中でたまたま「複数の作家さんで、年表を物語で埋めていくのはどうですかね?」という話になりました。そうしたら伊坂さんが「それ、イイですね」と面白がってくれました。

――その2つが同事進行していたわけですか。

髙松 当時は、両方とも正式な動きではなくて、フワっとした話だったんです。大体そういうものだったりしますよね、企画のスタートは。具体的に動き出してみると、「この出版不況に、何で小説誌なの?」と、各部署から何回も言われたんですが(笑)。創刊するにあたって、文芸業界を代表する作家のひとりである伊坂さん。そして、小社のC☆NOVELSというファンタジーノベルスを代表する茅田砂胡さん。同じ雑誌に掲載できるのは『小説BOC』だけだと。

――実際の購買層はどういった感じでしょうか?

髙松 かなり若いと聞いています。20代の方がたくさん読んで下さっているそうで、嬉しいですね。他の小説誌とは読者層が違うことは間違いないです。

――『小説BOC』の目玉企画「螺旋」は、“8組9名の作家が、古代から未来までの時代ごとに、日本を舞台にした『海族』と『山族』の闘いを描く競作”ですが、とても刺激的かつ壮大な内容です。参加されている作家さんも伊坂さんをはじめ、朝井リョウさん、薬丸岳さんなど、人気作家さんばかり。外部から見ると、作り方の構造が、小説というよりは、映画を作っていく過程に似ているのかな、とも感じました。『小説BOC』では、何度も作家のみなさんで集まって会議を重ねた経緯が載っています。作家と編集者との共同制作という感じでしょうか。