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菊地成孔の『ひと夏のファンタジア』評:言葉が浮かばない。今年前半で最も感動した、劇映画による「夢」の構造。

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【リアルサウンドより】

■音楽にも、そして映画にも「調性」が存在する

 「調性」は自律性の一種で、事前にコンテキストの共有がなくとも、鑑賞者に作品の同一性と環境を与え、時間の進行と共に、物語が進行する、その進行に鑑賞者を乗せ、運んで行くことができる。

 我々が一般的に「普通の音楽」と見做す、12音平均律を調性に採用している音楽に於いて、調性は「長調/短調」更には「ハ長調(Cメジャー)/イ短調(Aマイナー)」といった固有名が与えられ、7音で構成される(残る5音は排除されるが、容易に侵入し、同一性を揺らがせながら強化する)。

 これをヒエラルヒーの頂点に、リズム上の調性である「拍子」や、音質の同一性、演奏音楽の場合は、演奏者が途中で無根拠に変わらないこと、等々、自律性としての「調性」は、音楽内のあらゆる階層に張り巡らされ、群体として音楽を律している。

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