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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

エスカレーターを当然の顔で「歩く」超危険な人達…そもそも歩行禁止、法律ないからOK?

文=新見正則/医学博士、医師

 常識君は「実は鉄道会社は歩行禁止に賛同しているのだ!」と言いました。なぜなら、「みんなで手すりにつかまろう」キャンペーンが実施されているからです。そこには国土交通省と消費者庁が後援で、JR各社、私鉄、地下鉄など50社以上の名前が載っています。確かにそうですね。

 しかし、よく東京地区で耳にするアナウンスは「エスカレーターを駆け上がること、駆け下りることはやめましょう」というものです。また「エスカレーターを歩くときは転倒の危険などがありますから十分にご注意ください」というのもあります。これらは暗に、エスカレーター上での歩行を認めています。

 以前ある都市に出張に行ったときには、繰り返し「エスカレーターでの移動は危険ですからやめましょう」という放送が流れていました。つまり、その駅や、またエスカレーターそれぞれで対応はバラバラなのです。極論君が言うように、杓子定規に一律にそもそもあるべき姿や設計過程を踏まえて、全員が立って乗りなさいとすることも理屈には合っています。

 でも、目の前に電車が来ているのに、エスカレーターを歩くなと言われても、ついつい歩いて、または走って乗りたくなりますね。誰もいないエスカレーターで、結構距離が長いときなどは、なんとなく歩きたくなりますね。

歩くようには設計されていない

 また、非常識君が言うように、基本は動く階段なのだから、歩きたい人は勝手に移動すればいいということも理解できます。しかし階段と違って歩くようには設計されていないので、一段の高さは結構大きいですね。一方で動く歩道などは、その上を歩くようにも設計されているようです。

 ほかにも階段と違うところは、やはりエスカレーターは狭いということです。1人が乗れる幅しかないエスカレーターでは問題は発生しません。誰か1人が歩きたくないと感じ、歩かなければ、後ろの人はすり抜けて移動できませんから、諦めて移動するという選択肢を放棄するでしょう。

 問題は2人並んで乗れるタイプです。移動する人や乗っている人が荷物を持っていなければ、片側に立って乗って片側を空けるという対応は、それほど危険が増加するものではないのかもしれません。ところが、どちらかが荷物を持っているときは、お互いがぶつかりますね。そうすると当然に転落のリスクは増加するわけです。

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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