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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

ココイチと大戸屋、海外で高級店として大成功!寿司とおにぎりの価格差大?企業海外進出のカギ

文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授

 しかし、人口が減少する現代の日本社会において、こうした経営手法が今後も通用するとは考えにくい状況です。よって、脱・受け身体質は極めて優先度の高い課題といえるでしょう。たとえば、今までは地元の小さな市場しか対象としていなかったビジネスの範囲を日本全国に拡大する。さらには、こうしたステップを飛び越え、いきなり海外市場を狙ってもいいでしょう。

 実際に、地方の企業が関東・関西・中部といった市場を飛び越え、海外で成功している事例も確認できます。以下のようなポイントに注目すれば、日本市場を対象にするよりも海外市場に踏み出すほうが成功する確率は高いケースも考えられます。

日本の中小企業が海外進出において優位に作用するポイント

・ブランド

 みなさん、ご存じの通り、海外において「日本」は高品質というイメージを多くの消費者に想起させるブランドとなっています。これは間違いなく大きなメリットです。たとえば、日本の国内市場であれば、農産物の場合は有名な産地であるか否か、家電製品なら有名なメーカーであるか否かが重要になる場合が多く、該当しなければ不利な競争を強いられますが、海外では日本を前面に打ち出すだけで有利に展開できるわけです。

・技術

 欧米企業が初めての海外進出先として日本を選ぶことは少なくありません。もちろん、人口が1億を超え、ある程度お金を持っている人の割合が多いという経済的事情もあるでしょうが、まずは品質に世界一厳しいといわれる日本の消費者に商品をお披露目し、改善点を模索するといったマーケティングリサーチ的要素も強いようです。海外に行くと、誰もが実感すると思うのですが、トイレットペーパーやノートといった紙類、ペンなどの文房具、食品などの状態や包装など、多くの商品において日本の商品は明らかに優れています。

 こうした日本企業の品質は海外企業に対して、明確な差別化要素となるはずです。もちろん、高価格となる場合も少なくはないでしょうが、とりわけ中小企業においてはマスマーケットを対象にする必要はなく、多くの海外市場において十分に魅力的な規模の高価格ニッチ市場は存在しています。

・本物感

 日本が本場である商品・サービスを海外市場で展開すれば、通常、競争相手は日本ほど多くはないはずです。また本場であることは蓄積された技術に加え、本物感を消費者に強く想起させることが可能となるため、同業種の海外企業に対して、優位に競争を進めることができます。たとえば、日本食に関わる商品・サービスをはじめ、刃物などの金属加工、木工、竹細工、窯業などに関わる技術を生かした商品にも大きな可能性があるでしょう。

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授。1968年、大阪市生まれ。民間企業等勤務後、長崎総合科学大学・助教授、名城大学・教授、神奈川大学・教授、ワシントン大学・客員研究員、デラサール大学・特任教授などを経て現職。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)。著書に、『プレミアムの法則』『「高く売る」戦略』(以上、同文舘出版)、『ITマーケティング戦略』『日本の携帯電話端末と国際市場』(以上、創成社)、『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』『すごい差別化戦略』(以上、日本実業出版社)などがある。

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