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江間正和「飲食業界を“数字と現場”で科学する」

飲み放題、なぜ店も客も得?一杯の原価はたった150円?店は損しない数字のカラクリ

文=江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部代表

 さて、次は「1杯当たりいくらくらいのお酒を、飲み放題としてお店が用意しているか?」と、「飲み放題の金額がいくらか?」の2点がポイントになります。

 生ビールやワイン、日本酒(地酒)がコスト高になりそうですが、飲み放題用のドリンクですので1杯150円以内に抑えているお店が多いように思われます。ソフトドリンクやサワー等コスト安のものと均すと、1杯100円くらいで落ち着かせることも可能です。となると、100円/杯×4.5杯=450円。切り上げて「500円」というのが飲み放題材料コストと推測します。

 つまり「1,000円飲み放題!」でも、お客さん側は原価ベースでは元は取れません。でも売値ベースでは通常1杯500円で売っているドリンクを4.5杯飲んだら2,250円です。それが1,000円で飲めるわけですから、お客さんにとってはとてもお得になります。

売上<売値ベース合計でも儲け?

 先日ある飲食店のオーナーさんから、次のようなご相談を受けました。

「当店の飲み放題は2,000円と、ちょっと高めですが、地酒も全部飲み放題です。先週6人のご宴会で飲み放題部分の売上1万2,000円に対して、売値ベースで1万9,000円分の日本酒を飲んでいかれました。お客さんはとても満足してお帰りになりましたが、飲み放題を続けていてもお店として大丈夫でしょうか?」

 私の答え(分析)としては、売値ベース1万9,000円×30%の材料費=5,700円の材料費がかかりました。ドリンク部分の売上は6人分で1万2,000円ですから、差額6,300円が粗利となります。6人いたので1人から約1,000円の粗利をもらえたことになります。これは、通常で1,500円分の売上から発生する粗利でしょう。1,500円の売上を上げるためには、通常のドリンクなら、2~3杯の提供が必要ですよね。このお店の通常のお客さんは1人2~3杯飲むのが平均です。

 ということは、通常のお客さんと飲み放題のお客さんのドリンク部分の残る利益としては、「同じ」となります。材料費率で考えると、飲み放題部分は悪化したり、作業量は少し増えますが、残る利益は同じでお客さんが「得したな~」「おいしいお酒をいっぱい飲めたな~」と喜んで帰ってくれれば、「今後の継続的な来店」も発生します。「だったら、いいのでは?」とお話しさせていただきました。

江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部(株)代表

江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部(株)代表

東京未来倶楽部(株)代表
5年間大手信託銀行のファンドマネージャーとして勤務後、1998年独立。14年間、夜は直営店(新宿20坪30席)ダイニングバーの現場に出続けながら、昼間、プロデューサー・コンサル業。コンサル先の増加と好業績先の次の展開のため、2012年5月からプロデューサー・コンサル業に専念。
「数字(経営者側)と現場(スタッフ・オペレーション)の融合」「各種アイデア・提案」が得意。また、現場とのメニュー開発等、自称<「実践」料理研究家>。
・著書:『ランチは儲からない、飲み放題は儲かる』『とりあえず生!が儲かるワケ』『ド素人OLが飲食店を開業しちゃダメですか?』

Instagram:@masakazuema

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