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「電力自由化」狂騒曲、早くも終焉か…消費者にメリット少で新電力への切り替え進まず

文=井手秀樹/慶應義塾大学名誉教授
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成功の鍵とは

 これらで参考にされるのが、ドイツのシュタットベルケだ。シュタットベルケはドイツ各地で存在感を保っており、電気・ガス、熱供給のみならず、上下水道、ケーブルテレビ、公共交通など公共性の高い多岐わたるサービスを提供している。

 またスポーツ、芸術、文化活動などに、金銭面で多大な貢献をしている。これが、多少電気料金が高くても地元密着のシュタットベルケが選ばれる理由だ。

 日本の場合、電気やガス、あるいは水道、通信とのセット販売やHEMS(「Home Energy Management System」の略で、家庭で使うエネルギーを節約するための管理システム)を設置するものなどがある。付随するタブレット等を利用して、高齢者見守りサービスなど総合生活支援サービスや地域情報の提供など、コミュニティーの維持と活性化を図る手段はさまざまだ。

 しかし、第3セクターで行う事業は、過去にも数多く失敗している。電気の小売事業は利益が少なく、原発が再稼動すればますます料金だけの競争では勝てない。

 成功の鍵は、ブランドの確立と大手電力会社といかにうまく協調していくか、市民に寄り添ったサービスを提供できるかにかかっている。さらには地域にとどまらず、地域を越えたサービスの提供などによる規模の経済性の確保が重要だろう。
(文=井手秀樹/慶應義塾大学名誉教授)

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