NEW
雨宮寛二「新・IT革命」

アップル、中国政府に蹂躙され右往左往…販売シェア死守のため必死の「ゴマすり」

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
アップルのHPより
 米アップルiPhoneを発売して10年が経とうとしている。同社の売上高の約7割を占めるiPhoneが、同社経営のコア・コンピタンスであることに疑いを持つものはいない。その浮沈を握るのが中国市場だ。中国は今やアップルの売上の4分の1を占めるまでに成長した。


 これまでアップルは中国市場で巨大な需要を取り込むため、中国政府に十分配慮して一定の距離を保ちながら慎重にビジネスを進めてきた。中国が情報流通産業を統制対象としているのがその最たる理由であるが、とりわけ外資企業にとってビジネスを自由に展開するのは難しい。

『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』(雨宮寛二/エヌティティ出版)
 だが、こうした制約下でもアップルは中国のスマートフォン市場で外資としては大きな成功を収めてきた。政府の後押しを受け投資を加速させてきたローカルの競合を抑えて販売台数シェアを伸ばし、第1位まで上り詰めた。

 こうした成功はもちろん、主としてiPhoneのブランド力に起因するものであるが、中国市場でビジネスを進めるうえで、極端に中国寄りのスタンスを取っても成功が保証されるものではない。実際、アップルはこれまで中国政府に十分配慮してきたが、今年の4月にはアップルの中国サイトで、サービス開始から半年間続けてきた映画や書籍の販売が停止に追い込まれた。

 また先月には、iPhone 6やiPhone 6 Plusのデザインが中国のローカル企業である佰利(Baili)の「100C」に酷似しているとして、北京の知財規制当局がiPhoneの販売停止を命じ、アップルに揺さぶりをかけている。こうした揺さぶりに対して、アップルは異議申し立てを行うなどして応戦しているが、中国政府の対応には苦慮している。

ビジネスと中国政府への配慮の狭間


 こうした状況を反映するかのように、アップルは中国市場での販売シェアも低下した。5月に発表された最新の調査結果(Counterpoint Technology Market Research)では、中国でのiPhoneの販売シェアは前年同月の12%から1.2%縮小して10.8%となり、順位も5位に転落した。1位のファーウェイ(華為技術)17.3%を筆頭に、VIVO(維沃移動通信)、オッポ(広東欧珀移動通信)、シャオミ(小米科技)と上位4社はすべて中国のローカル企業が占めている。

 中国市場でこうした状況を目にするのは、決して珍しくはない。検索エンジン市場では、かつて米グーグルが中国政府により市場から締め出される憂き目に遭っている。この市場でも、6割以上の利用シェアを占めるバイドゥ(百度)をはじめ、好捜(Haosou)など上位を中国のローカル企業がほぼ独占している。