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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

五輪のリオ、死ぬほど危険?感染病で死者続出、強盗は日本の6百倍、最悪の衛生環境…

文=新見正則/医学博士、医師
五輪のリオ、死ぬほど危険?感染病で死者続出、強盗は日本の6百倍、最悪の衛生環境…の画像1リオデジャネイロ、コルコバードのキリスト像(「Thinkstock」より)

 今回は、リオデジャネイロオリンピックの応援に行くのかどうか、という話で盛り上がっています。

“極論君”は「絶対に行くべきではない!」と主張しています。理由は3点。1点目は病気です。ジカ熱の流行が昨年から話題をさらっています。妊婦が感染すると小頭症の子供が産まれる危険があります。これは蚊によって媒介されるので、妊婦は絶対にリオデジャネイロに行かないほうがいいです。問題は性交渉でも感染することが判明しており、リオデジャネイロに行った方との性交渉は要注意です。

 さて、もうひとつ豚インフルエンザが流行しています。先月のブラジル保健省の発表では、この半年間ですでに1000人以上が感染して死亡しています。死亡率は通常の季節性インフルエンザとは変わらないという報告もありますが、でも気持ち悪いですね。そして北半球の8月は夏ですが、南半球のブラジルの8月は冬なのですよ。インフルエンザの流行が爆発的に起こってもおかしくないですね。

 そして町全体の衛生状態も悪いそうです。セーリング会場となっているグアナバラ湾は、地元では巨大トイレといわれるように、汚物を含んだ下水道の放流先なのです。そんなよくわからない病気が流行っている、そして衛生状態が極端に悪い町にオリンピックだから観光に行くというのも馬鹿げているという主張です。

 そして第2は治安の悪さです。リオデジャネイロで2014年に発生した強盗件数は約8万件で、人口に換算して日本の約500倍以上の危険率です。高速道路での銃撃事件があったり、また観光客が出入りするのは極めて危ない地域であるファベーラが五輪施設のそばにあります。本当に危険と隣り合わせです。

 第3は不安定な政治です。ルセフ大統領の弾劾裁判がオリンピック期間中まで継続するなど、政治の不安定さは相当なものです。こんな状態では、公衆衛生や治安などの国家的対策が本当に完璧にできるのでしょうか。そんな危惧を極論君は持っているのです。

まったく問題ない?

“非常識君”は、まったく問題なくブラジルの応援に行くと言います。しかし、ホテル代も飛行機代も高いので、懐具合と相談してのことだそうです。彼の主張は、ジカ熱の不安に関しては、妊婦以外はまったく問題ない。性交渉で感染が広がるのはごくごく希で無視できる程度。そして豚インフルエンザも季節性インフルエンザとの死亡率が変わらないという報告もあるので、抗インフルエンザ薬を持参するそうです。

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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