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雨宮寛二「新・IT革命」

日本の自動車メーカー、アップルやグーグルの「下請け化」が現実味高まる

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グーグルのHPより
 自動車メーカーが、OSを握る米アルファベットやアップルの下請けという地位に追いやられる日は近いかもしれない。

 かつて、携帯端末メーカーがアップルやグーグルにOSを握られ、携帯電話市場でのコントロール権を失い覇権を献上したように、自動車市場でも同じ状況が起こり得る可能性が見えてきた。

 グーグルを傘下に持つアルファベットは、大局的な視点から自動運転がデフォルト(標準)になる時代を想定して、「車載システム向けソフトウェア」と「自動車OS」の両面から次世代自動車プラットフォームの開発に挑んできた。

『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』(雨宮寛二/エヌティティ出版)
 ダッシュボードの画面を制御するソフトとしてアンドロイド・オート(Android Auto)は機能し、今ではドライビングに必要なあらゆる情報はもちろん、娯楽などの提供も可能にしている。現状では数百種類に過ぎないアンドロイド・オート対応アプリは徐々に増殖し、将来的には車載画面を通してあらゆる操作を最適化してくれるに違いない。

 オートトレーダー・ドット・コムの最近の調査によると、顧客の44%はアンドロイド・オートもしくはアップルが提供するカープレイが搭載された自動車を入手するためなら1,499ドル余計に払ってもよいと回答している。

 アンドロイド・オートは、2014年の発表以来、今では全世界で40以上の自動車メーカーや車載器メーカーによって、100種類以上の対応モデルが提供されている。こうした背景には、消費者が車を購入する際にダッシュボード技術を決め手としたり、モバイル接続機能の販売や情報の提供で収入を確保したりするというメーカーの思惑がある。

アンドロイド・オートが標準装備化


 他方、車載システム向けソフトウェアを独自開発する自動車メーカーも存在する。だが、こうした独自路線を進める動きが、すでにアプリ開発のエコシステム構築で先行するアルファベットやアップルに立ち遅れているのは明らかである。そのため、メーカーとしては独自開発を進める一方で、アンドロイド・オートやカープレイの採用に踏み切らざるを得ないというのが実情であろう。

 アルファベットは、グーグルカー開発当初から完全自動運転を目指して取り組んできた。完全自動運転が実現できれば、乗車者は運転から解放され余裕のある時間を過ごすことが可能となる。その受け皿こそが、アンドロイド・オートである。まさに乗車者を車載アンドロイドやスマホに導いてくれ、広告や定額配信サービスによるマネタイズを意味する。

 このように、アンドロイド・オートは、アルファベットが次世代自動車プラットフォーム上でマネタイズを構築するうえで、まさに効果的な打ち手となる。車載アプリが多数開発されて需要サイドの便益が一層高まれば、自動車への標準装備となる日は間違いなく訪れるであろう。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)