ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 車の自動運転、化けの皮剥がれる  > 3ページ目
NEW
大西宏「コア・コンセプトのビジネス学」

車の自動運転、夢物語の化けの皮剥がれる…死亡等の事故多発、ブレーキすら正常作動せず

文=大西宏/ビジネスラボ代表取締役

 グーグルが米カリフォルニア州で走行実験を行っていることは広く知られていますし、メルセデスを使って100kmを自動運転で走行した動画を見れば、もうすぐ手に届きそうな技術ではないかと感じさせてくれます。

 WHO(世界保険機関)によれば、世界で毎年125万人が交通事故で亡くなっています。日本では飲酒運転の罰則や取締強化で、交通事故による死亡者数は長期的には減少してきていますが、問題は高齢者の割合が増加してきていることです。平成27年では、死亡事故のうち65歳以上が54.6%と半数を超えています。アクセルとブレーキを踏み間違う、ハンドル操作を誤って歩行者の列に突っ込む、高速道路での逆走など、高齢が原因と思われる悲惨な事故も起こっています。

 危険運転を防ぎ安全性を高めるためのシステムや技術に社会的なニーズがあることは、いうまでもないことです。

車の自動運転、夢物語の化けの皮剥がれる…死亡等の事故多発、ブレーキすら正常作動せずの画像2

運転支援か、自動運転

 
 人が車を運転することを前提とし、走行の安全性を高める運転支援なのか、車の運転をすべて任せてしまう自動運転なのかでは、単に技術進化のレベルと割り切れない違いがあります。

 なぜなら、自動運転には思わぬ2つの落とし穴が潜んでいるからです。

 ひとつは万が一事故になった際に誰が責任を負うのかという法的な問題です。自動運転で走行していた車が事故を起こした時に、誰がその責任を持つのか。所有者なのか、製造したメーカーなのか、もし運転に問題がないと主張したいなら、それを証明しなければなりません。また、社会的なコンセンサスや法的な整備が求められますが、そう簡単な話ではありません。

 そしてもうひとつは、自動運転の司令塔を担う人工知能やシステムがほんとうに信頼できるのかです。それを考えさせられる事故が今年相次いで起こりました。

人工知能の判断ミスによる事故

 まずはグーグル・カーです。交差点で道にあった砂袋をよけようと車線変更したところで、後ろから時速24kmで直進してきたバスにぶつかったのです。米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)から「AI(人工知能)も運転手」だというお墨付きをもらった直後のことでした。グーグルの人工知能はなんとおバカさんなのかと思わず笑ってしまいそうな事故でした。

大西宏/ビジネスラボ代表取締役

大西宏/ビジネスラボ代表取締役

ビジネスラボ代表取締役。自称「マーケティングの棟梁」

車の自動運転、夢物語の化けの皮剥がれる…死亡等の事故多発、ブレーキすら正常作動せずのページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!