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大手家電量販店と互角に張り合う、街の小さな電器屋さんがあった!スゴい「裏サービス」?

文=小野貴史/経済ジャーナリスト
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 営業社員22人の評価対象も、売り上げではなく粗利益額である。毎日、前日の担当者別営業実績がイントラネットで社内に開示されるが、表示されるのは粗利益額だ。経営計画も売上計画を策定せず、粗利益計画を策定している。安売り商法の回避を仕組み化し、体質にまで浸透させたことが、8年での目標超えを導いたといえよう。

 山口氏の持論は「利は売価にあり」である。小規模の単独店だから、仕入れでバイイングパワーを発揮できず「利は元にあり」を実践できない。粗利益率35%を確保できる売価の設定を目指したのだが、それでも集客力を強化するには、相応の付加サービスが必須である。

 同社はパナソニック専売店だが、全メーカーの修理相談を受け付け、さらに壁スイッチ、電球交換など、規模の小さな工事や修理・交換にも対応している。いわば御用聞きサービスで、「これは家電販売店としては当然のことです」(山口氏)。量販店より10%以上高くても売り上げを持続できる要因は、御用聞きサービスに加えて「裏サービス」と呼ぶ生活支援サービスの提供にある。

 同社は過去5年以内に購入した客を「会員」としてデータベース化し、顧客数は常時8200~8300世帯に及ぶ。多くが70歳以上の高齢者世帯で、22人の営業社員が担当制でカバーしている。これらの世帯に提供する裏サービスは、例えば買物代行、留守番代行、花への水やり、ゴミ捨て。昨今は、便利屋ビジネスとしてチェーン展開する企業が台頭し、厚生労働省は「公的介護保険外の自費サービス」として、生活支援ビジネスの普及を推進している。だが、同社のサービスはすべて無償だ。

「昔の日本人の生活では、困ったことがあれば隣の家同士で助け合いました。それと同じことをやっているのです。高齢者など社会的な弱者を支えることは、人として当然のことだと思います」(山口氏)

チップを渡す人も

 山口氏はさりげなく話すが、単純な疑問が浮かんでくる。無償でサービスを提供した顧客は、どれだけリピーターになってくれるのだろうか。

「裏サービスを提供した方の2~3割は、新たな買物をする時には量販店に行っています。うちにとって営業上は裏切られたという見方もできますが、社員には『我慢しろ』と言っています」(同)

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