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雨宮寛二「新・IT革命」

グーグルが世界を支配し始めている…独占的地位乱用で容赦なく他社「締め出し」

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サイト「グーグル」より
 

 欧州連合(EU)が「ネット保護主義」の姿勢を強めている――。

 欧州委員会(EC)は7月、米グーグルとその持ち株会社であるアルファベットに対して、グーグルが提供する検索連動型のインターネット広告「アドセンス(AdSense)」がEU競争法(独占禁止法)に違反した疑いがあるとして、異議告知書を送付した。

 グーグルは10週間以内に反論するか、改善策を提示して和解するか、いずれかの選択を迫られることになるが、グーグルが欧州委員会から異議告知書による警告を受けたのは、今回で3回目となる。

『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』(雨宮寛二/エヌティティ出版)
 インターネットとリアルの融合が進み複雑化する市場やプラットフォームでは近年、問題の所在が特定の分野における単なる独占に収まり切らなくなっている。欧州委員会がとりわけ問題視するのは、ある分野の独占をベースにして、その分野を補完し関連したりする市場でも競合を締め出すことで、寡占や独占領域を徐々につくり出す手法である。グーグルはまさにこの手法で、買い物検索やモバイルOS、さらにはネット広告の市場で独占領域を広げてきた。

 今回警告を受けたネット広告では、グーグルが広告配信サービスを利用するサイトに対して、競合サービスが配信する広告の掲載を禁じたり、グーグルが配信する広告を最も目立つ場所に一定数以上掲載することを義務付けたり、競合サービスの広告掲載にあたり事前にグーグルの了承を得ることを義務付けたりする一連の行為が、独占的地位の乱用にあたると欧州委員会は見なした。

社会インフラ化するグーグル


 実際、グーグルはネット検索やモバイルOSなど、さまざまなプラットフォーム上で築き上げた独占を足掛かりにして、関連市場や補完市場でもますます支配領域を広げている。これらのサービスが日々の暮らしや仕事のなかに定着し、今では世界中の個人や企業に便益をもたらすことで社会インフラとして機能するに至っている。

 こうした需要サイドの便益をますます高めていくためには、公正競争の確保は欠かせない。独占や寡占はまさに公正競争を阻害する要因となり得る。革新性を生み出す前提として、自由な競争環境の維持は欠かせない。市場に新たなるイノベーターが台頭しイノベーションが創出されれば、需要サイドに劇的な価値をもたらしてくれる。この繰り返しこそが創造的破壊である。

 欧州委員会は今後もグーグルの動向を注視していく意向を示している。グーグルとしては、今回の警告で指摘されたネット広告上での問題行為の一部をすでに改善していることから、その影響は小さいとの見方もある。

 だが、今後、欧州委員会から第4、第5の矢が飛んでくる可能性も否定できないことから、欧州市場でのグーグルのかじ取りはさらに難しくなることが予想される。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)