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ポテチのコイケヤの苦境…ライバル・カルビーの利益のたった百分の一、ポテチ&カップ麺戦争

文=編集部
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ポテチのコイケヤの苦境…ライバル・カルビーの利益のたった百分の一、ポテチ&カップ麺戦争の画像1「コイケヤ」の「カラムーチョ」(左)と「カルビー」の「ポテトチップス」(右)(撮影=編集部)

「ドンタコスったらドンタコス」「カリッとサクッとおいしいスコーン」「ポリンキー、ポリンキー、三角形の秘密はね……、教えてあげないよ、ジャン」など、奇抜で面白いテレビCMを連発し、人気の菓子メーカー、湖池屋は経営体制を一新する。

コイケヤ」ブランドでスナックを製造販売する持ち株会社のフレンテは、10月1日付で完全子会社の湖池屋、フレンテ・インターナショナル、アシストを吸収合併し、社名をフレンテから知名度の高い湖池屋に改める。

 9月28日に開催する株主総会後の取締役会で、キリンビバレッジ前社長の佐藤章執行役員が社長に昇格する。佐藤氏は、社長昇格後に国内事業を統括する。創業家の小池孝社長は代表権のある会長となり、海外事業と健康食品事業を統括する。

 湖池屋は小池一族の同族経営から、日清食品ホールディングス傘下の企業へと、名実ともに移行することになる。

湖池屋・日清食品連合対カルビー・東洋水産連合

 日清食品ホールディングスと東洋水産、カルビーと湖池屋。それぞれ、看板商品であるカップ麺、ポテトチップスが国内外で競合するライバル企業同士の連合だ。日清は東洋水産に対して国内では優位だが、海外では劣勢。湖池屋は関東では強いが、全国シェアはカルビーが圧倒する。

 2010年、東京が発祥の湖池屋と関西生まれの日清が手を組み、ダブルブランド商品を発売した。湖池屋は「コイケヤポテトチップス 日清焼きそばU.F.O.濃厚ソース焼きそば味」、日清は「日清焼きそばU.F.O. カラムーチョ ポテト味」である。

 カルビーは、「マルちゃん」ブランドの東洋水産と連合を組む。11年、北海道でカルビーは「カルビーポテトチップス やきそば弁当味」、東洋水産は「やきそば弁当 カルビーポテトチップスのりしお味」を売り出した。

 カルビーは09年、米食品・飲料大手ペプシコと資本業務提携して20%の出資を受け入れた。11年3月、東証1部に新規上場して攻勢を強めている。

 カルビーに対抗して11年5月、湖池屋を傘下に持つフレンテは、日清と資本業務提携。日清がフレンテに5%出資した。

日清はフレンテへの出資比率を高める

 湖池屋は1954年に小池和夫氏がおつまみ製造会社として創業。58年に株式会社に改組した。62年、日本で初めてポテトチップスの量産化に成功し、ポテトチップスが一般に普及するきっかけとなった。

 02年、持ち株体制に移行し、社名をフレンテとする。フレンテは04年6月、日本証券業協会(現ジャスダック)に株式を店頭登録した。

 事業は和夫氏の息子の孝氏が引き継いだ。孝氏は80年に湖池屋に入社し、95年3月に社長に就任。02年6月、持ち株会社フレンテの社長に就いた。

 しかし、カルビーの大攻勢の前にあえなく敗退。12年6月期、13年同期と2期連続の赤字に陥った。そこで日清が本格的に支援に乗り出すことになった。12年6月、フレンテが実施した第三者割当増資を日清が13億7700万円で引き受け、持ち株比率を5%から19%に引き上げた。さらに、フレンテの主要株主から1%相当の株式を立会外市場取引で取得し、持ち株比率を20%にして持ち分法適用会社に組み入れた。この時点では、筆頭株主は21.3%を保有する孝氏だった。

 14年10月、日清はフレンテが実施した第三者割当増資を23億5800万円で再び引き受けた。追加取得によって議決権の割合を20.0%から33.41%に高めた。ちなみに、現在の議決権の割合は34.53%。

 筆頭株主となった日清は、フレンテグループを再建するために脱創業家を目指し、経営体制を一新したのである。

キリンビバレッジ前社長の佐藤氏で国内事業再建へ

 フレンテの16年6月期の連結売上高は、前期比4%増の325億円弱、営業利益は57%増の4億円強となる見込みだ。従来予想は88%増の4億8000万円だったから、増益幅が縮小した。国内でポテトチップスが振るわず、広告宣伝費の増加が重荷となった。海外では台湾を中心に好調だったが国内の苦戦を補えなかった。

 ライバルのカルビーとは大差がついた。カルビーの16年3月期の連結売上高は2461億円、営業利益は281億円で7期連続の増収・増益だった。

 日清が国内事業再建の切り札として送り込むのが佐藤氏だ。同氏は82年早稲田大学法学部を卒業後、キリンビールに入社。12年にキリンビールマーケティング執行役員九州統括本部長、14年に傘下の清涼飲料大手キリンビバレッジの社長に就いた。

 キリンビバレッジは、主力の緑茶飲料「生茶」の販売量が15年に1820万ケースと、03年のピーク時から半減した。

 キリンホールディングスは15年12月期に巨額な赤字に転落した経営責任を取り、三宅占二会長が辞任。今年から新中期経営計画が始まったのを機に、グループの経営体制を一新。佐藤氏は3月末にキリンビバレッジ社長を退任した。

 16年5月、日清は佐藤氏を執行役員菓子事業担当としてスカウト。同時にフレンテの執行役員マーケティング担当に送り込んだ。佐藤氏は7月1日にフレンテの副社長に昇格、9月28日に社長に就任する。

 フレンテは活路を海外に求める。16年2月、資本金8億1000万円でベトナムに現地法人を設立。ホーチミン近郊のドンナイ省に海外初の自社工場を建設、現地生産に乗り出す。17年4月に生産を開始する予定だ。

 佐藤氏は不振の国内事業を担当し、「コイケヤ」ブランドの再生を図る。キリンで鍛えたマーケティング力が試されることになる。
(文=編集部)

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