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雨宮寛二「新・IT革命」

「ネット界のリーダー」米ヤフーの没落…なぜ「身売り」に追い込まれた?

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サイト「ヤフー」より

 米ヤフーの凋落の原因は、どこにあったのであろうか――。

 ヤフーはインターネットの黎明期である1995年に産声を上げた。ディレクトリ型の検索エンジンを携えて、「これからはカテゴリー検索が主流だ」と言わんばかりにポータルサイトの代表プレイヤーとして、ネットビジネスのメインストリームに躍り出た。

『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』(雨宮寛二/エヌティティ出版)
 ポータルサイトは、それまでネットビジネスの主流であったコンテンツ型ビジネスに取って代わるビジネスモデルとして、広告主導型ビジネスの先駆けとなった。ヤフーは検索サービスをはじめ、ショッピング、オークション、ニュース、メール、ゲーム、映画、音楽など、多くのサービスやコンテンツを提供することで集客力を高め、多くの企業から広告を誘導した。

 だが、その後、ロボット型検索エンジンを開発した米グーグルをはじめとして、米フェイスブックや米ツイッターなどのさまざまなSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の登場により、広告主導型ビジネスのリーダーとしての地位を追いやられることになる。ターゲティング広告の精度が競合より劣るのは、まさにポータルサイトの限界を意味するものであった。

 その後、多くの経営者を入れ替えながら、新たなビジネスモデルの模索を図ったが、既存の文脈に縛られて、ポータルサイトという次元の上で改良や改善が繰り返されていく。収益は頭打ちとなり、時価総額も伸び悩むことになる。それはまさに、新たなサービス領域を広げる革新性を失った事業者がたどる末路であった。

行き場を失ったヤフー


 今や市場はヤフーの中核事業の価値をほとんど評価していないばかりか、むしろマイナスととらえている。直近のヤフーの時価総額は約300億ドルであり、この値は、ヤフーが保有するアリババ株15%とヤフージャパン株35.5%の合計の時価総額約400億ドルよりも小さいことがその証左であろう。

 自力によるビジネスモデルの転換に限界を感じたヤフーは、ここ数年、中核事業の売却に戦略を切り替えたが、買い手がなかなか決まらなかった。だが先頃、米ベライゾン・コミュニケーションズに身売り先が決まった。

 ベライゾンはすでに米AOLを傘下に取り入れ、メディア事業やウェブ広告事業を強化している。ヤフーは、特にスポーツや金融などの分野で固定客がついていることから、メディア企業としての価値が十分にあると判断した。そのためベライゾンは当面、ヤフーを自社の中核事業である通信サービスを補強するコンテンツ配信ビジネスとして取り入れることでシナジー効果を生む狙いであろう。

 ポータルサイトとして行き場を失ったヤフーは、ベライゾン傘下で今後どのように変貌していくのであろうか。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)