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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

「写ルンです」やアナログレコード、なぜ根強く地味にブーム?古さ&手間こそ贅沢

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio

「社会学者のマックス・ウェーバーは、人間の(社会的)行為は『目的合理的行為』『価値合理的行為』『感情的行為』『伝統的行為』の4種類に分けられるとしています。趣味や娯楽の場合は、目的を達成することを第一優先とした『目的合理的行為』と、その行為にこそ価値を見いだす『価値合理的行為』のどちらかに分かれます。洗濯など効率と効果を求める行動であれば最新の洗濯機を使用する『目的合理的行為』でいいのですが、音楽やカメラなど趣味の分野では必ずしもそうではない、ということですね」(有馬氏)

 このように手間を楽しんで「価値合理的行為」を率先して行う人々がどの世代にも一定数いるということが、市場を支えているという。さらに、こういったレトロな市場は時代的な後押しを受けていると有馬氏。

「かつてこの市場は、根強いマニアにより支えられていましたが、インターネットやSNSが広まったことで愛好者同士のつながりが増え、情報交換や共有によって新たにのめり込む人々も増えているようです。さらに、ちょっとディープな趣味の世界の入り口も、ネットで簡単にリサーチできるようになったことで敷居が低くなったことも一つの理由でしょう。その結果として、今後はモノへのこだわりや味わいを大切にするいわゆるオタク層と、最新機器を使って利便性を重視する層で市場の二極化が進んでいくのかもしれません」

 最新機器が市場の目玉であることに変わりはないが、そこに興味を失ったユーザーが古い機器に新鮮さを感じてハマっていく。このような構造が、最新市場も愛好家市場もともに活性化させている、といえるのではないであろうか。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio)

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