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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏

究極のアイス「エッセルスーパーカップ」、バカ売れが止まらない!大容量&低価格&味濃厚の奇跡

文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

 15年は明治だけでなく、多くのアイスクリームメーカーが値上げに踏み切ったが、消費量は落ちず、業界では「消費者に値上げが認められた」と受けとめられている。また、エッセルスーパーカップにおけるシーズンフレーバーは、昨年夏は「クッキーバニラ」味、今年の夏は「チョコミント」味で訴求しており、いずれも好調だという。

究極のアイス「エッセルスーパーカップ」、バカ売れが止まらない!大容量&低価格&味濃厚の奇跡の画像2この夏のシーズンフレーバー「チョコミント」

「06年上期より、定番の『超バニラ』『抹茶』『チョコクッキー』にシーズンフレーバーを加えた計4品で展開しています。チョコミント味は、当社のお客さま相談室にも『ぜひ出してほしい』との要望が多い商品で、清涼感もあり夏らしい商品といえます」(同)

 固定ファンの多いエッセルは近年、顧客支持の高い味やデザート的な味のシーズンフレーバーで訴求を行う。12年発売のクッキーバニラは、同ブランドのシーズンフレーバーで歴代最高の売り上げを記録したという。

究極のアイス「エッセルスーパーカップ」、バカ売れが止まらない!大容量&低価格&味濃厚の奇跡の画像3明治本社(筆者撮影)

発売時に「この味で、この価格」を打ち出し大人気

 エッセルスーパーカップを発売する前、明治乳業(当時)のアイス部門は、71年から日本国内で販売していた高級アイス「レディーボーデン」(米ボーデン社)との業務提携を解消し、次の柱となる商品開発が急務だった。そこで、乳脂肪分を高めたアイス、それ以外の新たなアイスの2本立てで開発を続けた。後者の成功例がエッセルだ。

 エッセルスーパーカップの容器に記された種類別名称は「アイスクリーム」(乳固形分15%以上、うち乳脂肪分8%以上が条件)ではなく、乳脂肪分の少ない「ラクトアイス」となっている。

「濃厚な味わいを楽しめる商品にするため、味を左右する脂肪分を13%とプレミアムアイス並みに設定。乳脂肪に比べて安価な植物性脂肪を使うことでおいしさと低コストを実現したのです。また、当時の150ミリリットルという100円アイスの常識を打ち破ろうと、200ミリリットルの容量かつ100円で勝負しました。植物性脂肪なので、量が多くてもあっさり食べられるという特徴もあります」(同)

 当初は小売店のアイス什器スペースに限りがあり、なかなか扱ってもらえなかった。大容量を訴求するため、当時のベテラン営業マンは商品をバイヤーに持ってもらい「ほら、重いでしょう」と実感してもらったという。こうして売り場に置かれるようになると、たっぷり食べたい消費者に支持された。発売年が猛暑だったのも追い風となり、商品は爆発的に売れた。それまでバニラ味で人気だった定番商品を一気に抜き去ったのだ。

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。

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