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「日の丸」液晶会社JDI、存亡の危機…今期業績算定困難、サムスンに全然歯立たず

文=編集部
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歴代経営者に成功体験がない

 JDI社長の有賀修二氏は、エプソン出身のエンジニアだ。1983年、東京農工大・大学院工学研究科修了、諏訪精工舎(現セイコーエプソン)に入社し、03年に取締役に就任。05年、セイコーエプソンと三洋電機の中小型液晶の合弁会社、三洋エプソンイメージングデバイスの社長を経て、11年からソニーの中小型液晶子会社、ソニーモバイルディスプレイの社長を務めた。JDIの発足後、執行役員に就任、13年に取締役になり、15年6月に社長兼COOとなった。

 ちなみにJDIの初代社長の大塚周一氏は、倒産したエルピーダメモリのCOOだった。米テキサス・インスツルメンツ(TI)の工場長やソニーのシステムデバイスカンパニーのプレジデントも務めてきた。TI時代の先輩であるエルピーダメモリの坂本幸雄社長に誘われた同社に転じ、坂本社長の側近として日本で唯一のDRAM専業メーカーであるエルピーダのCOOに上りつめた。

 だが、エルピーダは12年2月、会社更生法を申請して倒産した。ここでも捨てる神あれば、拾う神ありだ。業界に通じている点を買われ、大塚氏はJDI社長の座を射止めたのである。だが、大塚氏はエルピーダの二の舞を演じるのではないかと冷ややかに見られていた。そして案の定、業績の下方修正を繰り返し市場と投資家の信頼を失った。

 こう見てくると、歴代経営者は成功体験が乏しいのである。運を持っているリーダーを選ばないと企業は浮上しない。

 シャープの鴻海グループ入りが決まった時、本間氏はJDIの決算会見で「“日本連合”で闘うべきだと思う」と悔しさを滲ませた。しかし、民間のことは民間でやるのが筋で、シャープの経営陣とメインバンクが鴻海に身売りすると決めたのだから、外野が口を挟む余地はない。経産省は「液晶技術の海外流出阻止」を錦の御旗のように掲げていたが、シャープの技術者は、すでに散り散りになっている。シャープの液晶技術など、とっくの昔に韓国や中国に流出しているのだ。鴻海がシャープを解体せずに経営再建するというのなら、お手並み拝見である。

 鴻海はシャープを解体して最先端の液晶部門だけを継承するとの見方もある。シャープは事実上、解体される運命にある。JDIも革新機構におんぶに抱っこではなく、一から出直すべきだ。経産省が主導した企業再生でうまくいった例はない。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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