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深野康彦「あなたと家族と日本のための、お金の話」

過去10年、私達の給与10%減の一方、企業から株主への配当金10倍増…意味する真実

文=深野康彦/ファイナンシャルリサーチ代表、ファイナンシャルプランナー

利益はどこに消えたのか?

 では、企業の利益はどこに消えてしまったのでしょうか。近年では、企業が内部留保を貯めこんでいると報道がありますが、一方で株主への利益還元も積極的に行っていることを忘れてはならないのです。

 さらに21世紀はじめに商法が改正されてからは、内部留保(剰余金)を取り崩してまで配当金を支払っているのです。以下の図は、TOPIX(東証株価指数)連動ETFの純資産額が多い上位3銘柄の100口当たりの分配金の平均値です。3銘柄とも01年に上場、翌02年から分配金を支払っています。

過去10年、私達の給与10%減の一方、企業から株主への配当金10倍増…意味する真実の画像3

 分配金を支払った初年度の平均額は259円33銭であるのにたいして、16年の平均額は2632円と過去最高を更新、約10倍に増加しているのです。その間、大幅に減少した年もありましたが、概ね右肩上がりの増加トレンドが継続しているのです。平均給与には非上場の企業も含まれているうえ、比較年に多少のずれがあるためやや強引な比較といえなくもないのですが、給与は約10%の減少、分配金は約10倍に増加とはあまりにも違いがあるといわざるを得ないのです。

 株式を保有しないということは、がんばって働いたご褒美(給与の原資)は残念ながら株主への貢ぎ物になっているといい換えてもよいのかもしれません。表現が悪いですが、株式を保有しないということは、他人様の懐を温かくするために働いているようなものかもしれないのです。売却益狙いではなく、収入の伸びの鈍化をカバーするために、配当金などのインカムゲイン狙いで株式を保有する時期にきていると思われます。
(文=深野康彦/ファイナンシャルリサーチ代表、ファイナンシャルプランナー)

深野康彦/ファイナンシャルリサーチ代表、ファイナンシャルプランナー

深野康彦/ファイナンシャルリサーチ代表、ファイナンシャルプランナー

AFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士。クレジット会社勤務を3年間経て1989年4月に独立系FP会社に入社。1996年1月に独立し、現在、有限会社ファイナンシャルリサーチ代表。テレビ・ラジオ番組などの出演、各種セミナーなどを通じて、投資の啓蒙や家計管理の重要性を説いている。あらゆるマネー商品に精通し、わかりやすい解説に定評がある。

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