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『ラスト・エンペラー』から『ハイ・ライズ』へーー受け継がれた“映像主義”

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【リアルサウンドより】

 伝説的作家J・G・バラードの問題作『ハイ・ライズ』を映画化した本作は、予想以上に“映像主義”な映画であった。ここでいう“映像主義”とは、通常のエンターテイメント作品が映像を通してストーリーをわかりやすく観客に提供していくのに対して、映像そのものの威力とそれらを編集でさらに強めることを重視した特徴を指している。この性質のため、本作『ハイ・ライズ』は原作未読の場合、話や設定についていくのに少々苦労してしまうかもしれない。でも、この退廃的かつ魅惑的なビジュアルの連続にグイグイ引き込まれていく感覚は最近では珍しい映画体験とも言えよう。この感覚、ちょうど80年代後半から90年代に君臨していたアート系大作映画を思い起こさせてくれる。

 アート系大作映画とは、例えばベルナルド・ベルトルッチがアカデミー作品賞を受賞した87年の『ラスト・エンペラー』などがそうだ。第2次世界大戦時に実在した満州国の皇帝となった愛新覚羅溥儀(あいしんかくらふぎ)の数奇な生涯を、ベルトルッチ流“映像主義”をもって描いた大作で、当時の観客に対し「これこそ映画だ」とパワーを誇示した。この作品のプロデューサーだったのが、大物イギリス人プロデューサー、ジェレミー・トーマスで、もうおわかりの通り、彼が『ハイ・ライズ』のプロデューサーでもあるのだ。

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