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そこまでやるかトヨタ!新興国を席巻する破天荒な新車、徹底した現地化の神髄

構成=田中 圭太郎/ライター

 ではトレンドをつかむにはどうすればいいかというと、過去を知ることです。過去との時系列比較と、相対比較をする。今の状況は過去最低なのか、過去最高なのか。どれくらいなのかを見ると身の丈がわかります。そうすると、まだまだ伸びる、あるいはこのまま伸び続けていくわけがないと判断できるのです。40年間新興国と仕事をしてきて、時系列で判断することが非常に重要だと実感しています。

 合わせて強調したいのは、異端児になることを恐れないことです。新興国担当は社内では少数派です。その意見は先進国の常識に照らすと奇異に映ることもしばしばです。そうだとしても、声を上げることを恐れてはいけません。小さな国を担当していると、本社の会議でほとんど話題にしてもらえないかもしれません。しかし、問題点や必要なことはしっかり主張しないと、会社は重要な情報がわからないまま判断を間違ってしまいます。実は私もトヨタで異端児と言われたものですが、新興国担当としてがんばった証のように感じています。

 配属されたのがアメリカやヨーロッパじゃないから、自分はメインから外れたなんて感情を持ったらそれまでです。規模が小さいほうがいろんなことを経験できます。販売からマネジメント、政府との折衝まですべてやりますし、大統領に会えることもあります。マイナーであるがゆえの強みを出していけば、それが自分の力になります。

 本社も新興国でがんばっている人を人事で引き上げることが必要です。そうすれば社員のモチベーションも高まりますし、人材も集まるでしょう。

–新興国ビジネスの魅力は?

岡部 感動の連続ですね。今まで自分が体験していないことばかりで、すべてが探検のようなものです。

 私は75の国と地域を回ってきて、それぞれの国の人々と親しくなりました。問題が起きると会いに行って、当事者とじっくり話します。同じテーブルについてとことん話し合えば、だいたい解決します。大変だったけれども、未知の国の人とともに汗を流すのは、やりがいがすごくありますよ。

 今は、世の中全体で“指示待ち族”が多くなった気がします。しかし、「自分がやらなきゃ」「体を動かさなきゃ」と考えて汗をかくことが生きている証だと思います。そうでなければ、コンピューターと比較してどう違うのかということになってしまいます。

 ぜひ新興国に飛び出して道をつくる仕事、“パイオニアワーク”にチャレンジしてほしいですね。

–ありがとうございました。

 本書では成功体験ばかりでなく、現地のパートナーが殺害されたケースや事業の失敗など、苦労したエピソードも満載で、新興国ビジネスの真実が語られている。新事業やベンチャービジネスに取り組む企業から個人まで、自分で道を切り拓きたいと願うすべての人に参考になるだろう。
(構成=田中 圭太郎/ライター)

『世界でトヨタを売ってきた。』(岡部聰/開拓社)。トヨタの新興国展開を率いた岡部氏が、パイオニアワーク=道をつくる仕事の流儀を明らかにした「魂の記録」。

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