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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

絶対にバレない最強のドーピング方法?検査スルーできるレベルなら許されてもよいのか

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「Thinkstock」より

 今回は「ドーピング」のお話です。少々過激です。まず、“常識君”の解説です。

 ドーピングとは、運動能力向上のために薬物を使うことです。古代ギリシャの頃から興奮剤などを運動能力向上のために使用していたそうです。そして現代に至っても興奮剤は当然ドーピング薬に指定されています。サイエンスが進歩して、筋肉を隆々にするホルモンが合成できるようになりました。蛋白同化ホルモンといいます。これも今までたくさん使われてきました。

 また血液、特に酸素を運搬している赤血球を増加させるホルモンであるエリスロポイエチンが合成できるようになりました。これは、持久系の競技には特別に有効で、長時間の運動が何週間も続くスポーツ、たとえば3週間にわたって行われるツール・ド・フランスなどではものすごい効果を発揮しました。

 そして、より効果的なのは、自分の血液をあらかじめ貯蔵しておいて、いざ本番というときにその血液を自分に戻す、いわゆる血液ドーピングで、これもツール・ド・フランスで使用されていました。1999年からツール・ド・フランスを7連覇したランス・アームストロングが、実は以前からドーピングを常用しており、それを行わなければツール・ド・フランスに勝てなかったと証言しています。彼は2013年にテレビ番組でドーピングの事実を認め、そしてその行状は本や映画になっています。ですから、やった本人が告白しているので当方も語りやすいのです。

ドーピングはバレずに実行可能?


 ドーピングを摘発するために行われているもっとも基本的な検査は、競技終了後の尿検査です。この検査では体に投与されている薬物の痕跡を捉えることはできます。しかし、エリスロポイエチンは元来、体にあるホルモンなので、尿検査では不正行為を指摘できません。ましてや血液ドーピングでは自分の血液を注入するので、尿検査でその悪事を捉えることは不可能に近いのです。

 また、競技会当日には尿では捉えられないように、競技会の前にあらかじめ薬物を投与して、検査当日は異常なしとする方法も考案されました。そこで、生体パスポートという方法が登場しました。これは競技会当日ではなく、抜き打ちで血液検査をする方法です。これを行うためには、トップアスリートはあらかじめ自分の所在地をすべて報告する義務が生じます。