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小笠原泰「コンピュータ技術の進歩と日本の雇用の未来を考える」

弁護士もオフィスワークもサービス業の仕事も「なくなる」恐れ…機械による代替が加速

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 つまり、労働集約的であったのは単なる結果であり、必然ではない。そして、急速な技術進歩により、安価な投資でこの領域の仕事を機械で代替することが可能になりつつある。

 人がやっている仕事だから「人でなければならない」と合理化されている仕事が多いのが現状であり、そのことに働いている当人も半ば気が付いているので、機械による仕事の代替に強い危機感を覚えるのであろう。

 変化が遅ければよいが、前回連載記事で述べたように、変化の速度は加速化していく。そして、ビジネス環境と仕事は高度化・複雑化していくが、多くの労働者はそれについていけていない。特に、職を奪われて他業種へと職を求める労働者が追いついていくとは考えにくい。

人間にとって高度で複雑な作業は、機械にとっては反復作業


 ここで注意を要するのは、「人間にとって高度で複雑」と思われることの多くは、実は機械にとっては精緻な反復作業にすぎない。たとえば、AirbnbやUberのような広範囲でのリアルタイム最適化マッチングは、とても人間の手に負えるものではないが、機械にとっては本領発揮の領域である。

 また、車の自動運転が示すように、機械が不得意とされてきたパターン認識など、定性的・非定型といわれた仕事は、実はそうではなかったということである。詳しくは次回記事以降で考察するが、AIとディープ・ラーニングの見据える方向性の違いを理解することが重要である。

 これは、国の言うところの「再教育」というお題目などでどうにかなるものではない。ゆえに、雇用のミスマッチは拡大することはあるにせよ、縮小すると考えるのは非現実的である。雇用延長を政府が企業に強制すればするほど、この傾向は強まるであろう。働いている人々も、この難しさを感じているのではないだろうか。

二流・三流のプロの仕事はなくなる


 以上より突き詰めると、一人ひとりが環境の進歩に合わせて「人でなければならない仕事」、つまり「それによって相応の対価を得られる仕事」とは何かを真剣に考え、そのスキルを獲得する必要に迫られるということである。

 たとえば、弁護士の仕事は、膨大な判例に照らして資料を作成し、法廷で依頼人の弁護をすることである。このなかで付加価値の高いものは、法廷での弁護であり、判例の検索は必要であるが、人を使って労働集約的な作業を行う必要はない。検索能力に長けた機械のほうが、時間的・金額的に効率的であろう。そうであるとすると、法律事務所で働く人の数は、かなり減るはずである。