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筈井利人「一刀両断エコノミクス」

ここ最近の公取委の「活躍」に重大な懸念…「市場独占=消費者に不利益」の大嘘

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 ジャーナリストのジョン・ハイルマンが訴訟の内幕を暴いた。それによると、1997年8月、サン・マイクロシステムズ、ノベルといったライバル企業がシリコンバレーで極秘の会合を開き、独禁法訴訟でマイクロソフトを追い落とす作戦を練った。ノベルの本拠地ユタ州選出のオリン・ハッチ上院議員、上院司法委員会のスタッフらも同席したという。

 会合後、ライバル企業はマイクロソフトを攻撃する広報活動とロビー活動に取りかかった。300万ドルを投じてコンサルタントを雇い、マイクロソフトの「不正」を司法省にアピールするシナリオを練ったという。

 訴訟は2002年に和解が成立したものの、和解の条件が決まったのは11年。多大な時間とコストを費やした13年にもわたる闘争は、肝心の消費者にとって不毛だったとしかいいようがない。

 政府の独占規制が政治と無縁でない以上、ライバル企業のロビー活動などを背景に、成功した特定企業を狙い撃ちにするような運用がされない保証はない。公取委の「活躍」に無邪気に拍手するのでなく、本当に消費者の利益のために行われているのか、冷静に見極める必要がある。
(文=筈井利人/経済ジャーナリスト)

<参考文献>
Thomas DiLorenzo, How Capitalism Saved America: The Untold History of Our Country, from the Pilgrims to the Present