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ソフトバンク、負債が異常膨張で巨額減損リスク増大…「相乗効果ゼロ」の巨額買収の代償

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 残り1兆円は、みずほ銀行三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行などが協調融資する方向だ。当初は、みずほが1兆円を限度に融資することになっており、単独の民間企業向けに、みずほが行う融資としては過去最大級とされてきた。メガバンク3行のほか、他の大手銀行や外資系の金融機関も加わるとみられている。

 融資を返済するための資金に充当するためハイブリッド社債を17年3月期中に1兆円発行する。償還までの期間は60年、金利は3%程度だ。

 ハイブリッド社債は、会計上は負債となるが、格付け会社はハイブリッド社債の一部を株式と同じように自己資本と見なす。株式を発行するのと違って、1株利益が希薄化したり、資本効率が下がったりするという悪影響は出ない。

のれん代は4.5兆円超

 12兆3720億円――、6月末時点のソフトバンクGの有利子負債だ。16年3月期の売上高9兆1535億円を大きく上回る。有利子負債のうち、スプリントの分が3兆8983億円で3割強を占める。スプリントがソフトバンクGの業績の足を引っ張っていることが、よくわかる。

 アームHDの買収で有利子負債はさらに膨らむ。買収資金は、アリババ集団株式などの売却とハイブリッド社債で調達するので「心配はご無用」というのが、ソフトバンク側の主張だ。

 懸念は、のれん代の膨張だ。アームHDの純資産は2500億円。ソフトバンクの買収額3兆2000億円との差額は約3兆円だ。スプリント分などののれん代1兆4761億円(6月末)と合算すると、4兆5261億円となる。資本合計(同3兆2719億円)の1.4倍に膨らむ。

 ソフトバンクGは国際会計基準を採用している。買収企業が想定通りの収益を上げなければ、巨額な減損を一気に迫られるリスクが高まる。

IoT時代の覇権を握ることを狙った買収

 ソフトバンクGが「減損リスクはない」と強気なのは、アームHDの経営が健全だからだ。アームHDの16年4~6月期の売上高は、前年同期比17%増の2億6700万ポンド(約368億円)、純利益は9000万ポンド(約124億円)。売上高営業利益率は48%と圧倒的な収益力を誇る。

 アームHDは半導体の開発に不可欠な回路設計図のライセンス提供が主な事業。パソコンからスマートフォン(スマホ)へとIT(情報技術)機器の主役が移り変わる際に、CPU(中央演算処理装置)の分野で米インテルの独占を崩してアームHDは台頭した。スマホの出荷が増えるほどライセンス料というかたちで業績を伸ばすことができる。