NEW
雨宮寛二「新・IT革命」

グーグル、終わらない驚異的な連続増収増益に潜む「死角」

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
サイト「グーグル」より

 米グーグルを傘下に持つアルファベットの業績が好調である――。

 先頃発表された2016年4~6月期の決算では、売上高が前年同期比21%増の215億ドル、純利益が24%増の48億7,700万ドルと、どちらも20%を超える成長を遂げている。好調の要因はモバイル広告で、今や検索の半分以上をスマートフォン(スマホ)やタブレットなどのモバイル端末が占めるようになったことから、売上高の半分以上をモバイルで稼いでいるとの見方もある。

 それではなぜ、グーグルは毎期高いレベルで増収増益を達成できるのか。グーグルは早くからモバイル端末の将来性を見抜いて、ネット利用のモバイルシフトに取り組んできた。米ダブルクリックに加え、米AdMobといったモバイル広告事業会社を次々と買収しながら、バナー広告やディスプレイ広告などの強化に注力してきた。

『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』(雨宮寛二/エヌティティ出版)
 その一方でブラウザ(クローム)や動画サービス(YouTube)、メール(Gmail)、地図(グーグルマップ)、アプリケーション(グーグルプレイ)などウェブアプリケーション開発にも投資し、競合との差別化を図るための布石を着実に打ってきた。これらのサービスは、今や月間利用者数が10億人を超えるまでに成長している。

 このように、グーグルはウェブアプリなどを通じて、利用者を検索エンジンに誘導しながら着実に広告収入を増やしてきた。利用者が集まれば必然的に広告も集まるというまさに「ネットワークの外部性」を利用したエコシステムを、グーグルはモバイルプラットフォーム上に築き上げた。

米フェイスブックの脅威


 だが、こうした順風満帆なグーグルでも決して安泰であるとはいいきれない。なぜなら、ネット広告市場で最大の競合である米フェイスブックが着実にシェアを伸ばしているからだ。米調査会社イーマーケターによれば、世界デジタル広告市場ではグーグルが約31%でトップシェアを依然として守っているが、フェイスブックもそのシェアを伸ばし、12%まで成長している。

 今やフェイスブックの月間利用者数は17億人に達し、このうち11億人が毎日利用している。この世界最大の交流サイトに対抗するために、グーグルにはいかなる打ち手が残されているのであろうか。

 現在アルファベットは、収益性の高いネット広告事業に取って代わる事業を模索している。自動運転車をはじめ、ヘルスケアや高速インターネットサービスなど新たなビジネスへの投資に余念がない。とりわけ、AI(人工知能)の開発には早くから着手し、その投資額も莫大である。「モバイルシフト」の次は「AIシフト」であると言わんばかりだ。

 広告収入はやがてモバイル市場が成熟すれば頭打ちとなる。アルファベットは広告市場の成長が鈍化したタイミングで現在投資しているこれらの事業、すなわち次なる成長戦略を「金のなる木」に変えることができるのであろうか。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)