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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

中国、日本領海を侵犯!世界各国が一斉に中国の不当輸出品を排除の動き

文=渡邉哲也/経済評論家

 かつての冷戦の時代は、いわばそうした価値観の対立が起きていたわけだが、東側が崩壊したことによってアメリカによる一国支配に近い体制となり、世界の理念やルールが共通化される動きが進んだ。これは、グローバリズムと言い換えることもできる。

 そのベースとなるのが前述した3つの条件であり、それらを守るという前提の下で西側諸国によって発展を約束されたのが、中国や旧ソ連(およびロシア)など東側諸国の立場だった。つまり、西側のルールを守ることによって、西側からの資本や技術の流入が許され、それによって発展するというシナリオだ。

 この基本構造は、今もまったく変わっていない。発展して豊かになったからといって、東側の国が前提条件を反古にすることは許されないわけだが、それをやってしまっているのが中国だ。そういう意味では、今、世界には非常に強い対立構造が生まれていて、まるで時間軸が冷戦の頃に戻っているかのような状況なのである。

中国のダンピング製品は市場から排除へ

 このまま進んでいくと、世界で何が起きるのか。ひとつは、西側による中国の閉め出しである。すでに、アメリカは中国企業のファーウェイとZTEに組み込まれているチップの開発に中国人民解放軍が関与しているということで、「国家保安上のセキュリティリスクがある」として、使用に強い拒否反応を示している。

 政府機関や軍での使用を禁じるとともに、ソフトバンクがアメリカの通信会社のスプリント・コーポレーションを買収する際にも、ソフトバンクがファーウェイやZTEのチップや機器を使用していることを危険視し、中国製品の排除を条件に買収を認めたことがある。また、アメリカは中国に対して、プロセッサやCPUの輸出禁止という措置もとっている。

 かつて、国務規定というかたちで、東側諸国への最新鋭の製品の輸出統制があった。1980年代に東芝の子会社が旧ソ連に工作機械などを輸出したことが対共産圏の輸出統制に違反するとして政治問題に発展した「東芝機械ココム違反事件」があった。このままでは、再びそういった輸出統制がかけられるような方向に進んでいくことになるだろう。

 規制には金融規制という方法もあるが、一度に急激な金融規制を仕掛けた場合、中国に多額の投資をしている西側諸国にとっても大きな負担になる。特に、ただでさえ弱体化しているドイツ銀行など、ヨーロッパの各銀行にとっては破綻の原因にもなりかねない。逆にいえば、そうした事情をわかっているからこそ、中国は横暴を働いているわけだ。

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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