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ルディー和子「マーケティングの深層と真相」

トヨタ、自動車ローンで驚異的高収益…小売業を必ず衰退させる「儲かる金融事業」

文=ルディー和子/マーケティング評論家、立命館大学客員教授

 売り上げ減少が続くのを隠そうとしたのだろうか。売り上げの数字を不正操作したことが発覚し、14年秋には株価が1年前の半分に反落。その年の決算で、過去100年で最大の損失も計上した。そのために外部からは、収益性が高くテスコグループの利益の3分の1を稼いでいるテスコ銀行を売却したらどうかという声も出るくらいだった。

 このように小売業は、クレジットカードやポイントカードを発行すれば顧客データを収集することができる。顧客基盤がある程度の規模になれば、キャッシングサービスを始めて、保険を売ることもできる。それがうまくいったら、より高い利益を求めて、銀行だけでなく保険会社、証券会社を傘下に収めることもできる。ただし、日本や欧州とは違い、米国では規制があって小売業が銀行を買うことはできない。

 顧客にとってみれば、モノを買っている会社から金融サービスを買うことは、手続きも簡単だし便利だ。銀行よりサービスの質もよい。米国でも、金融危機の後は特に、信頼性を失った金融機関よりは小売業者からの金融サービスを好む消費者が増えているという調査結果もある。ローンを提供する企業にしても、過去の購買履歴を分析して、信用度をチェックできるから、貸し倒れ率を低く抑えることができる。たとえば、丸井の貸し倒れ償却率は1.7%と、業界平均の1.9%より低い。

 顧客データベースを持った小売業が始める金融サービスは、成功するようにできているのだ。

 だが、冒頭で述べたように、小売業が金融サービスを始めると必ず本業が低迷する。次回、その問題点について探ってみよう。
(文=ルディー和子/マーケティング評論家、立命館大学客員教授)

ルディー和子/マーケティング評論家

ルディー和子/マーケティング評論家

早稲田大学商学学術院客員教授。
国際基督教大学卒業後、結婚・渡米を経て帰国、
米化粧品会社のエスティ ローダー社で働きながら
上智大学国際部大学院経営経済修士課程修了。
エスティ ローダー社ではマーケティングマネジャー、
出版社タイム・インク/タイムライフブックス社での
ダイレクトマーケティング本部長を経て、
マーケティング・コンサルタントとして独立、
自身の会社ウィトン・アクトンを設立
ルディー和子オフィシャルブログ

Twitter:@shouhigaku

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