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雨宮寛二「新・IT革命」

税率たった0.005%…アップルやスタバ、世界的な巨額「税逃れ」スキーム

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アップル「iPad」


 欧州連合(EU)は8月30日、米アップルが2003年から14年にかけてアイルランドに支払うべきだった約130億ユーロに及ぶ税金を納めていなかったとの判断を下したが、この判断は果たして妥当なのであろうか。

 アップルは早くから法人税の実効税率が低いアイルランドに欧州の拠点を設けて、節税対策に取り組んできた。具体的には、アップル・セールス・インターナショナルとアップル・オペレーションズ・ヨーロッパの2つの子会社を設立し、前者が製造業者から製品を買い取り、欧州を中心にした市場で販売したかたちにして収益を集め、その大半をアイルランド政府の課税対象にならない後者に移すことで課税対象の所得を大幅に圧縮するというシステムを採る。

『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』(雨宮寛二/エヌティティ出版)
 他方で源泉徴収問題を回避するためにオランダにも会社を設立し、バミューダなどの第三国への資金移動に利用する拠点として機能させた。この手法はまさに、EU域内国への支払いでは源泉徴収が行われないという現行法制度の抜け道を利用したものである。

 アップルはこのような租税回避スキームを1980年代後半にいち早く確立した。現在では「ダブル・アイリッシュ」「ダッチ・サンドイッチ」の名称で、米グーグルや米スターバックスなどの多国籍企業の多くが採用するに至っている。

 そもそもアイルランドは、法人税の実効税率が12.5%と欧州諸国のなかでも極めて低いいわゆるタックスヘイブンのひとつであるが、アップルはアイルランドで設立した2社を経由した取引や資金移動を行うことで税負担を軽減し、実質的な税率を03年の1%から2014年の0.005%まで下げることに成功している。

法的基準の明確化が優先されるべき


 今回アップルに下された追徴課税は、この10年余りの期間を対象にしたものである。EUがこの時期に租税回避に厳しい措置を下したのは、富裕層の課税逃れの実態を暴露したパナマ文書が先頃公開されたことでもわかるように、巨大企業の節税に対する世界的な不満の高揚に対処するためであろうが、EUがこの問題を長年にわたり放置してきた感は否めない。