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垣田達哉「もうダマされない」

肉の生焼き・生食は要注意!死亡例も…テレビ番組で堂々と「グルメ」扱いで紹介

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
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肉の生焼き・生食は要注意!死亡例も…テレビ番組で堂々と「グルメ」扱いで紹介の画像1「Thinkstock」より

 先日放送されたあるテレビ番組を見ていて、「こんな料理を紹介しても大丈夫なのか」と心配になる場面があった。
 
 同番組はある焼き肉店のハンバーグステーキを紹介していたのだが、牛のひき肉の塊がレアに近い状態で客に提供されていた。厨房で多少加熱しているかもしれないが、テレビで見る限り、ほとんど生の状態のひき肉だった。客は、鉄板に載せられた専用の焼石でそのハンバーグを焼いて食べるというスタイルだった。

 牛肉を生で食べることは食中毒の危険性が高い。そのため国は、食品衛生法や食品表示法で、生食用牛肉を提供する飲食店等に次の点の注意喚起表示を義務付けている。

肉の生焼き・生食は要注意!死亡例も…テレビ番組で堂々と「グルメ」扱いで紹介の画像2『一冊で分かる食品表示』(垣田達哉/商業界)

(1)一般的に食肉の生食は食中毒のリスクがある
(2)子供、高齢者その他食中毒に対する抵抗力の弱い者は食肉の生食を控えるべき

 同番組で紹介された店でこうした表示がなされていたかどうかは不明だが、全国に数店舗を持つチェーン店なので、法律違反を犯しているとは思えない。牛ひき肉をほとんど生の状態で提供することも、当然ながら保健所の指導を仰ぎ了承を得ているのだろう。

 保健所が一度も調査に入っていないとは考えられない。少なくとも営業を認可する時には、どんな料理を提供するのかは確認しているはずである。行列ができる店として現地では有名な店なので、保健所は現場を確認して、ひき肉を十分加熱せずに客に提供することも許可しているのだろう。

 同番組内では、スタジオで試食をする際に「10秒間加熱してください」というナレーションが入ったが、テレビに映ったひき肉の塊を見る限り、10秒間で中心部まで十分に加熱されたようには見えなかった。

 生食用食肉の提供に関する法律(食品衛生法)は、飲食店は対象になるが、テレビ局は対象外である。飲食店は、それ以外にも営業許可の段階や定期的な立ち入り調査で、保健所の指導監督を受けている。しかしテレビ局は、どんな料理をどんな調理方法で紹介するかの許可も指導も受ける必要はない。

 飲食店でも、牛肉のユッケを提供する際には厳しい規格基準が定められているが、生のひき肉を提供する場合の規格基準はない。これは、今までひき肉の料理で重篤な食中毒が起きていないことと、「ひき肉料理を生焼けで提供する飲食店などない」という日本の行政の事業者性善説論によるところが大きい。

ひき肉は特に要注意

 実は、ほとんど生の牛肉を提供するスタイルの店が食中毒を引き起こした事例もある。
 
 2009年、焼き肉チェーン店のペッパーランチは、牛の成型肉を十分加熱せずに客に提供し、客も鉄板で十分加熱せずに食べ、30名以上の腸管出血性大腸菌(O157)による食中毒患者が発生した。

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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