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雨宮寛二「新・IT革命」

iPhone、連続大幅売上減の危機…サムスン等に劣勢、マリオ「独占」で必死の差別化

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アップル「iPad」

 9月7日に開かれた米アップルの新製品発表会。マーケティングに頼るアップルの限界が鮮明となった。

 今回発表されたスマートフォン(スマホ)の最新モデル、iPhone 7。シンプル重視を貫くアップルは「ミニマリズム」による簡素なデザインという既定路線を踏襲し、従来モデルから大幅な変更を行わなかった。それは、アップルがスマホ市場の趨勢を読み取り、競合企業の繰り出す新たな打ち手に対処する方針に注力した証でもある。

 今年に入ってiPhoneは苦戦続きで、売上高の前年同期比は2期連続で2ケタの減少を記録した。iPhoneの将来を占う中国で前年同期比33%減少(2016年4-6月期)を記録したのを筆頭に、米州は11%減、欧州は7%減と主要な地域で売上が軒並み落ち込んだ。

 アップルはこうした苦戦する地域を含めて市場全体を見据えた開発戦略を採らず、前年同期比23%増と好調な日本市場に特化した開発を優先した。こうしたミクロの開発戦略は日本という特定の市場で一時的な効果を発揮し成果を生むことは可能であるが、長期的に見れば、打ち手がなくなると先細り感は否めない。実際、日本のスマホ市場でアップルのシェア(市場占有率)は49%に達し世界でも最高水準であるものの、日本市場の売上高は全体のわずか8%にすぎない。

 他方、競合との熾烈な開発競争に目を転じてみれば、これまでアップルは防水機能で韓国サムスンのギャラクシーに先行され、決済機能においては世界市場の展開がなかなか進まずアンドロイド陣営の後塵を拝してきた。iPhone 7では、これらの弱点を補いつつ、さらにレンズ性能の向上により、近距離や暗い場所でも鮮明な写真を撮りやすくしてカメラ機能を高め、イヤホンの差込口をなくして充電端子に集約するなどして機能の拡充を図った。

「アップルらしさ」の喪失


 極めつけは任天堂との独占契約である。「スーパーマリオブラザーズ」の新作のiPhone配信に加え、「ポケモンGO」のアップルウオッチへの対応も契約に盛り込まれた。コンテンツの充実といわんばかりに人気ゲームの独占配信を取り付けることで、競合との差別化を図った。

 アップルがマーケティング重視の姿勢に転じて早5年が経過しようとしている。今回の発表でさらにアップルはこの姿勢を加速したことが窺える。どうやらアップルは、このマーケティング重視の路線で「行けるところまで行く」という考えを強くしたようだ。