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キユーピーのせいで無機能食品ばかり!? メーカー社員が漏らす商品の無意味さ

【サイゾーpremium】より

月刊「サイゾー」がウェブで読める「サイゾーpremium」では、3月無料購読キャンペーンを開催中! 今回は最新号の「トクホビジネスの”闇”」特集から記事をご紹介します!

──トクホ業界全体で実際に商品を開発しているメーカー側にとって、トクホビジネスにはどんな旨味があるのだろうか──。開発に携わる社員たちの声をもとに、日本健康・栄養食品協会(以下、日健栄協)の内実と、その”苦しい”懐事情について検証した。

 にわかに活気づくトクホ市場。そう聞くと、飲料や食品を手がけるメーカー各社がこのブームに乗っかって、競い合うように「トクホ」を開発しているようなイメージを抱くかもしれないが、現実はちょっと異なる。乳製品を扱う食品メーカーの営業マンが言う。

「うちもトクホは出していますし、もちろん開発もしていますが、そんなに力を入れている分野でもない。というのも、外から思われているほどおいしくないんですよ。トクホの許可を取るためには臨床試験もやらなくてはいけないので1~2年はかかるし、費用も数億円単位でかかります。なのに、苦労の割には売れないという商品のほうが多いんです。メッツコーラが売れたのは、トクホと炭酸飲料という意外な組み合わせがウケたから。加えて、あしたのジョーを広告に利用して、脂っこい食事をしてもトクホコーラを飲めば大丈夫というお手軽なイメージをつくったからでしょう。キリンさんの”マーケティング”の勝利です」

 概論でも触れた市場の減少を観るに、トクホは思ったよりも売れていない。トクホビジネスにかかわる者たちの反応の多くは、先の営業マンのように冷ややかだ。その理由を、某健康食品メーカーの社員が明かす。
「トクホコーラも黒烏龍茶も、カタカナの”トクホ”という言葉と国が効果を認めたというお墨付きを使ったイメージ操作であって、本来の”特定保健用食品としてのトクホ”の目的からは、大きくかけ離れています。本気でトクホビジネスをやってきた者たちからすると、そりゃシラけますよ」

 この言葉の真意は、トクホの成り立ちにある。前述の通り、厚生労働省が管轄となって、大手食品メーカーと共に「機能性食品」を制度化しようと動き始めた頃、中央官庁ならではの横やりが入る。問題となったのは「機能」という言葉。薬事法の医薬品の定義に「身体の構造、機能に影響を及ぼす」という文言があったため、医薬品の担当部局が「機能性食品」の名称とコンセプトに猛反発したのだ。

「そこで妥協の産物としてひねり出したのが、”特定保健用食品”という意味不明な言葉です。こういう成り立ちなので、今も、どっちとも取れる曖昧な表現しか使えない。初期のトクホの成分は乳酸菌が多かったのですが、許可された表示は”おなかの調子を整える”。これだと便秘にいいのか、下痢にいいのかわからないですよね(笑)」(前出・健康食品メーカー社員)

 結果、食品の持つ「機能」をうたえることに期待を寄せていたメーカー側からすると完全に期待外れとなったが、厚生省(当時)はトクホを取得するよう、大手の食品メーカーや医薬品メーカーに強く働きかける。当然、温度差が生まれ、商品化は進まず、制度の認知も限定される。そんな中、市場を一気に動かしたのが、99年に発売された花王の食用油「エコナ」だった。

「ジアシルグリセロール(DAG)という成分は確かに、食後に中性脂肪が上昇しにくい。そういう意味では”効果”のある商品を開発したわけですが、それ以上に花王が画期的だったのは、トクホをマス媒体で全面的かつ継続的に打ち出して、さらに関連商品を出すという、いわば”トクホ商法”を大々的にやり始めたことでした。それまで業界には、そんな発想はほとんどなかった」(同)

■同業者につぶされた「エコナ」のトクホ商法

 だが、出る杭は打たれる。よそ者の突然の参入は、既存のメーカーにとっておもしろいわけがない。ほどなく「エコナ包囲網」が形成され、業界紙を中心に、疑問を投げかける情報戦が始まった。中でも、最も活発に働きかけている企業として記者たちの間で囁かれていたのが、「キユーピー」だったという。

「食用油だけならまだしも、マヨネーズやドレッシングも出し始めたので、黙っていられなかったのでしょう。キユーピーはある業界紙を隠れ蓑に、花王とエコナを執拗につけ狙っていました。国内のみならず、海外の研究データもウォッチして、DAGのネガティブデータが発表されれば、すぐさま『問題有り!』と報じる。これに呼応して、消費者団体が安全性に疑問あり、と行政に申し入れるという構図です。さらには、行政に直接データを持ち込んだり、政治工作も行っていたようです。当時、東京都の担当者は『また、キユーピーが来たよ』とぼやいてました」(食品関連業界紙記者)

 そして、引き金を引いたのが、09年9月の民主党への政権交代。エコナの退場には、ほぼ同時期に消費者庁が新設され、トクホが厚生労働省から消費者庁に移管されたことも影響した。初代の消費者庁担当大臣は、福島瑞穂氏。社民党唯一の閣僚で存在感のアピールが必要だった。また、消費者庁としても、消費者の味方であることを強く印象づける実績が欲しい。ここで、エコナの安全性問題に火がついてしまい、花王にとっては悪夢のタイミングとなったのだ。これにより、トクホ自体の信頼性も地に落ちる。

 しかし、消費者庁の”暴走”はさらに続く。エコナ問題を契機に、トクホの安全基準を、より厳しくする方針を示したことで、新しい成分の許可が実質的に頓挫したのだ。それまで進められてきた錠剤・カプセルタイプのサプリメントにトクホを拡大する動きも却下。消費者団体や左派系弁護士によって「トクホ廃止論」も唱えられ始めた。ここで、多くのメーカーは「トクホは終わった」と考えたというが、日健栄協をはじめとした業界団体は、アクションを取らなかったのだろうか?

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BusinessJournal編集部

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