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ワーナーの一斉リストラ、執拗な退職勧奨工作を元社員が告発…突然の解雇、審判を申立

文=寺尾淳/ジャーナリスト

8回の退職勧奨の末、整理解雇通知

 入社後31年半のキャリアがあるベテラン男性社員、Aさん(54歳)は、音楽制作の現場では長年にわたってアイドルグループ、ロックバンド、シンガーソングライターなど数多くのミュージシャンを担当し、実績をあげて社業に貢献してきた。40代半ばで制作の現場を離れてもマネージャー職、部長職として管理能力を発揮し、決して「報酬に比べてパフォーマンスが低い社員(ローパー社員)」ではなかった。

 ワーナーは労働移動支援助成金制度を利用し、人材会社・B社が入って、リストラの進め方などを助言したとみられる。15年の夏にリストラ策として約30人の社員に退職勧奨を行ったが、その対象に総務担当だったAさんも入っていた。ちなみに退職勧奨とは、解雇ではなく、会社側が従業員に自ら退職するように勧告することで、従業員側にはこれに応じる義務はない。

 Aさんは拒否したが、その後、8回にわたって会社の幹部らが面談を繰り返し、退職勧奨を受け続ける。その間、高かった人事評価は7段階で最低のランクに下げられ、年俸制の賃金はカットされた。

 人材会社は途中でC社に交代したが、引き続きワーナーはAさんを退職に追い込もうとした。そこでAさんは東京管理職ユニオンに相談。1年近くにわたって会社側との団体交渉が行われたほか、厚生労働省との折衝も行われている。

 ちなみに評判の悪い労働移動支援助成金制度は連合本部も問題視し、厚労省も16年に入ると厳格に運用する規制強化に乗り出す。6月には人材会社による人員削減提案や退職に追い込むマニュアルの提供を禁じる指針を作成。支給内容の改正も行われ、新しい制度は8月1日に施行された。

 ところが会社側はその8月、Aさんひとりだけに紙切れ1枚で整理解雇を通告した。東京管理職ユニオンとの次の団体交渉の日程がすでに決まっていたにもかかわらずで、団体交渉を無視したのは不当労働行為に問われかねない。そのため、東京都労働委員会にも不当労働行為の救済申立を行う予定になっている。

 東京管理職ユニオンの鈴木剛執行委員長は、ワーナーは制度改正でリストラの指南が受けられなくなったので、これ以上は待てず、解雇に踏み切ったのではないかとみている。

人材会社へ責任転嫁

 Aさんへの解雇通知書には、次のような趣旨の内容が書かれていた。

「厳しい決算が見込まれ、社内に業務が見つからず、出向先を確保する見通しも立たないから解雇した」

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