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イオン、赤字拡大で深刻な事態…ユニクロにもニトリにも見劣り、「ビジネスモデル」の限界

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

 イオンリテールは、売上総利益率でみるとユニクロやニトリに大きく劣り、売上高販管費率はライフに大きく劣ります。理由はともかく「衣料」「食品」「住居余暇」の各分野で、GMSは専門店には勝てないことがわかります。

GMSは中途半端で機能不全状態

 ユニクロは衣料品、ニトリは住居関連品、ライフは食品に特化することでスケールメリットを生かすことができます。大量に製品を製造する、大量に製品を仕入れることで原価を低下させることができます。物流コストや人件費、宣伝広告費などの販管費も抑えることができます。

 商品力で比べた場合、イオンリテールはユニクロやニトリなどの専門店に見劣りしてしまいます。ユニクロやニトリの製品は「高品質で低価格」というブランドイメージが定着しています。一方、イオングループのプライベートブランド「トップバリュ」でも衣料品や住居関連品を扱っていますが総花的で、個別分野のブランドイメージは強いとはいえません。

 食品に関しては、日本では地域に根ざした食品スーパーが強く、全国展開のイオンリテールは劣勢に立たざるをえません。ライフは首都圏と近畿圏に集中して出店しています。ライフに限らず、食品スーパーの多くが地域を限定して出店しています。

 イオンリテールの食品部門の売上総利益率は健闘していますが、売上高販管費率が高く営業利益を出せていません。販管費は食品部門だけの数値ではありませんが、食品部門の非効率性は容易に想像できます。

 たとえば、チラシを配布するにしても、地域を限定したほうが効率は高くなります。旬の食材をアピールする場合も、地域が限定されていたほうが訴求しやすくなります。極論ですが、北海道と沖縄では旬の食材は異なります。また、地域が限定されていたほうが鮮度を保った状態で消費者に食品を提供することができます。

 GMSにとっての脅威は専門店だけではありません。利便性ではコンビニエンスストアに劣ります。個性的な製品・サービスが揃う場としてはショッピングモールに劣ります。GMSという業態は、今の時代では中途半端といわざるをえません。

 GMSは機能不全に陥っているといえます。新規出店を抑制し、不採算店舗は統廃合していかなければなりません。分野や地域を絞っていくことも不可欠です。つまり、抜本的な改革が必要なのです。イオンの中間決算は、そのことを物語っているといえるでしょう。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

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