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大野智「医療・健康情報のウソ」

蔓延する「エセ科学」商法の正体…水素水、コンビニ弁当危険説、マイナスイオン

文=大野智/医師、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄付講座准教授

 そして、その悪者に認定されたものが、体に悪影響を与えていて、さらに命が危険に晒されているなどと主張し、人を不安や恐怖に陥れます。このときにも、なんとなく科学的な説明(疑似科学)が活躍します。「風が吹けば桶屋が儲かる」の故事ことわざのごとく、こじつけや論理の飛躍を駆使して主張を信じこませます。さらに陰謀説を織り交ぜてくるなど、手の込んだ主張をしてくることもあります。

 具体的な事例が現実とかけ離れていたり、主張が論理的に破綻していたりしてもお構いなしです。ここでは、とにかく人を不安にさせたり恐怖を感じさせたりして、感情を揺さぶることができれば目的達成です。なぜならば、人は感情が揺さぶられると冷静な判断ができなくなるからです。

(3)都合よく不安や恐怖を解消する商品の宣伝

 人は誰しも不安や恐怖を抱えたままでは安心して生活できません。なんとか不安や恐怖を解消すべく行動するのが人の常だと思います。ここで、都合良く願いを叶えてくれる商品の登場です。

「このマイナスイオン発生装置で活性酸素撃退」
水素水で活性酸素消去」
「無添加・無農薬の食品で健康生活」

 商品を宣伝・販売している人物は、世の中の悪を退治する英雄さながらの演出をしてきます。「さらに真実を知りたい人はコチラへ」と、書籍の購入やセミナーへの参加を促すこともあります。ここでも、なんとなく科学的な説明(疑似科学)を用いて、いかに商品が体にとって良いものかが強調されます。そして気がつくと、本当に効果があるのかどうかもわからない、しかも冷静に考えれば明らかに実態とはかけ離れた高額な商品を勧められるがまま購入しているのです。

 これで、悪徳商法の完成です。

 では、なんとなく科学的な説明(疑似科学)を鵜呑みにすることなく、悪徳商法に騙されないようになるためには、どうしたらよいのでしょうか。

 次回は、その解決策・対応策について考えてみたいと思います。
(文=大野智/医師、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄付講座准教授)

大野智/医師、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄付講座准教授

大野智/医師、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄付講座准教授

大阪大学大学院医学系研究科 統合医療学寄付講座 寄付講座准教授

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