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マイナス金利で日本国債暴落、はデタラメである…日本の財政状況は資産「超過」レベル

文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授
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マイナス金利は悪い面ばかりではない

 金融機関としては、国債のマイナス金利によって、他の儲かる金融商品の収益が減ることのほうがより心配である。例えば、銀行の住宅ローンでは高利のものが繰り上げ返済されており、生命保険会社は一部貯蓄保険の販売停止を行っているが、こうした動きは金融機関にとっては収益面でマイナス要因となる。

 住宅ローンの繰り上げ返済は、新たに低利ローンを借りて高利ローンを返済すれば、借入者の金利負担は軽くなる。一方、銀行にとっては収益減になる。借入者にとっては大きな魅力なので、かなりの人が利用している。

 生保による貯蓄保険の販売停止は、少し事情が複雑だ。

 保険には、大きく分けて2種類の商品がある。掛け捨て型保険(定期保険)と貯蓄型保険(終身保険など)である。前者は単純に保障だけを求めるものである。それに対して、後者は保障と貯蓄の2つを求めるもので、掛け捨て型保険と払い込み保険料を運用する投資信託が組み合わさったような商品だ。

 個人は保険を代理店や銀行などから購入するが、そのとき、代理店や銀行は保険会社から販売手数料をもらう。掛け捨て型保険の場合、販売手数料は保険契約者が払い込む保険料の半分ほどになる商品もある。貯蓄型保険でも、掛け捨て型保険と投資信託の組み合わせで、販売手数料は10%ほどになる場合もある。貯蓄だけの機能であれば、投資信託より高い手数料になっている。しかも、手数料は払込保険料に含まれており、透明性が低い。

 金融庁は、保険商品の販売手数料の透明性が低いことを問題視しており、販売している銀行業界に開示するように求めていたが、保険代理店には求めていない。さらにマイナス金利で銀行業界も手数料を確保したいことから、開示は先送りされている。

 保険業界による貯蓄型保険の販売停止は、そもそも商品として成り立たなくなったという理由のほかに、手数料を開示していないので、顧客との無用なトラブルを回避したいという理由もあるだろう。

 いずれにしても、金利の低下は、一般の人々にとっては悪いことでない。預金金利はすでにほとんどゼロなので、下がっても痛手は少ない。その一方、借入などではメリットばかりだ。

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